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煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

世の中の権力・学問・建前に疲れたら老子を読もう

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少し前に購入してあった『老荘思想がよくわかる本』の前半(老子の部分)を読み終わりました。

最近、古典を読みたいという気分が強くなっています。下の記事に書いた通り、世界の古典の中で読みたいものとして挙げていたのが『老子(老子道徳経)』でした。

私が今読みたい世界の古典・名作5選 - 煩悩退散!

最近、瞑想や仏教の本を読んでいて、仏教がインドから中国を通って日本にたどり着く過程で、中国の道教(老荘思想に影響を受けている)の影響を受けたという話を知り、より一層『老子』に興味が出てきました。

まずは入門書から

新しい事を学ぶ時に私のよくやる手として、まず簡単な入門書から始めるというものがあります。

老子などの古典を読む時には特に、入門書が役に立つと思います。現代語訳と注だけの本は大まかな解説が少ないことが多いので、初学者には難しすぎるのです。また量もあるので、圧倒されてしまってなかなか読み進めないということも良く起こります。

ですので、まずは入門書で概略や用語を掴んでおくのが良いと思います。ということで、今回選んだ入門書は、金谷治著『老荘思想がよくわかる本』です。

老荘思想がよくわかる本 (新人物往来社文庫)

老荘思想がよくわかる本 (新人物往来社文庫)

 

本書では、『老子(老子道徳経)』の概要を紹介し、老子の思想の核となる数章の丁寧な解説を行なっています。また、後半は荘子の思想の解説となります。今回、前半の老子の思想の部分までを読みましたので、感じたことを書いてみたいと思います。

儒教に対するアンチテーゼとして生まれた老子の思想

『老子』の成立年代や老子という人物自体の正体は、とても昔のことであるため、実は完全には分かっていません(老子が実在したのかどうかさえ)。

しかし、研究者の現在の結論としては、『老子』は中国の戦国時代(紀元前403年〜紀元前221年)の後半には既に成立していただろうということです。

そして、『老子』は、春秋時代に成立し戦国時代には既に広く力を持っていた儒教に対抗する思想として生まれたのだろうということです。つまり、登場した順番としては『儒教』→ 『老子』となります。

儒教は、仁や義などを説き、戦国時代には既に官僚やエリートなどの支配階級の思想となっていました。そういう時代にあって、儒教の建前然としたところ、小賢しいところ、わざとらしいところを批判して、もっと自然に、自由になろうよと説いたのが老子の思想です。無為自然。無知無欲。

現代で言えば、反権力思想、反知性主義のようなものでしょうか。また、後で触れますが、ミニマリスト的な考えにも通じたところがあります。

人生には儒教が必要な時期と、老子が必要な時期がある

中国には、正統な思想としての儒教と、それを中和するための老荘思想が、二本柱として共存してきました。どちらも、2000年以上ものあいだ生き残ってきたわけです。

中国人にかぎらず、人間の人生には色々な事が起こります。正社員や官僚になって正統なエリートの道を歩いていたと思ったら、いきなりリストラされたり、内部のドロドロしたことに耐えられなくなりドロップアウトしたり。そんな辛い時に助けになるのが老子の教えなのではないでしょうか。

今でも「論語を読もう」というような本は多く見かけますが、大体「ビジネスで役に立つ」とか、そんな「正しい」目的で読まれていますよね。儒教は、俗世間や組織で如何に上手くやっていくかという思想になってしまっているんです。なので、これから権力者になろう(できれば良い権力者になろう)として頑張っている中間管理職くらいの年代に人気がある(ような気がします)。私が会社勤めを続けていたら、「ここらで論語でも読んでおくか」といった気分になっていたのでは無いでしょうか。

もちろん、それが悪いというわけではありません。一般的に通用する教えは『論語』にも多くあるでしょう。それによって、結構マシな権力者になることが出来るかもしれません。

私自身、『論語』をしっかり読んだ事はないので、この判断は全く信頼できるものではないと、いちおう断っておきます。いずれ、論語も勉強するつもりでいます。

ちなみに、日本のアマゾンで「論語」で検索すると6333件。「老子」で検索すると740件で、やはり老子は少数派ではあります。仏教は42621件なので、さらに強力な思想となっているようですね。

私はまだ老子を完全に受け入れるわけにはいかない

老子の教えには、下のような言葉があります。

「学を断てば憂い無し」

「学を為(おさ)むる者は日々に益(ま)し、道を為むる者は日々に損(へ)る」 

一つ目は、学問はむしろ害になると言っているわけです。二つ目の言葉も、「道」が老子の目指すところですから、やはり、学問をして日々賢くなっていくのは悪いことで、むしろ道を目指して、日々減っていくことの方を良しとします。 「日々減っていく」というのは、ミニマリスト的で好きな考えですが。

しかし、私はまだまだ色々学びたい(論語も読んでみたいですしね)。したがって、この教えをここで受け入れてしまうことはできません。

できる事と言えば、日々減らすような学びを行うということでしょうか。抽象的ですが。学問で得た知識を、そのまま無批判に受け入れるのではなく、必要なものは取り入れると同時に、今の自分の中にある余計なものは捨てて、プラスマイナスを合算するとマイナスになるような学びです。

まとめ

『老荘思想がよくわかる本』の前半部分(老子)を読んで思ったことを書いてみました。

ここからは、全章が載っている本を読んでいきたいと思っていますが、少し注意があるようです。

『老子』の底本は、『魏の王弼注』などが有名ですが、1973年に馬王堆3号墓(紀元前168年)から発見された『馬王堆帛書』や、1993年に郭店一号楚墓(紀元前300年頃!)で発見された竹簡『郭店楚簡』などは、老子の最古級の新しい資料であり、既存の資料との差もかなりあるため、老子研究に大きな影響を与えているようです。

本を買う場合には、これらの新資料への言及がどの程度あるかを確認してから購入したほうが良いかもしれません。

私は、評価の高そうな下の二冊を購入しました(解説者による解釈の違いにも興味があったからです)。

老子 (岩波文庫)

老子 (岩波文庫)

 

こちらの岩波文庫の本は 『帛書』『楚簡』ともに触れているようです。

老子 (講談社学術文庫)

老子 (講談社学術文庫)

 

こちらは『老荘思想がよくわかる本』と同じ著者のものです。『帛書』には触れていますが『楚簡』には触れていないようです。現代語訳は、こちらの方が個人的には好きな気がします。

皆さんも、興味があれば是非『老子』を読んでみて下さい。

追記:後半の感想はこちら

『老荘思想がよくわかる本』の後半(荘子)を読み終わりました - 煩悩退散!