煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

日本酒が魚の臭みを取る理由


日本料理では、日本酒を調味料としてよく使います。よく言われる理由としては、料理に旨味・甘みを与える、魚の臭みを取るというものがあるかと思います。前者は、日本酒に含まれる糖分やアミノ酸などのおかげであると想像できますが、魚の臭みを取ることができる理由はあまりまじめに考えたことがありませんでしたので、調べてみました。

下の笹一酒造さんのサイトの説明では、「アルコールが魚の臭みの成分であるトリメチルアミンを蒸発させる」とあります。

日本酒活用あれこれ【笹一酒造】

なるほど、これはたぶんアルコールが蒸発する時にトリメチルアミンと一緒に蒸発してくれるということなのでしょう。

また、お酒のアルコールは魚などの組織をやわらかくする一方で、タンパク質の凝固を早める効果があるとも説明しています。日本酒の他の利用法もたくさん紹介されていますので、興味のある方は上のサイトを見てみて下さい。

さて、魚の臭みの原因はトリメチルアミンであると書かれていますが、トリメチルアミンとはどんな物質なのでしょうか。

Wikpediaで調べてみると

トリメチルアミン - Wikipedia

魚類は、浸透圧調節作用を持つ成分として、トリメチルアミン-N-オキシドを持ち、還元されることでトリメチルアミンとなる。トリメチルアミンは魚が腐敗したときの臭いの原因の一つである。

とあり、浸透圧を調整するための物質が腐敗する時に腐敗臭のトリメチルアミンに変化してしまうということのようです。

更に読んでいくと、

食品中に含まれるレシチン(コリン)が一部の腸内細菌によりトリメチルアミン(TMA)に代謝され、さらに肝臓においてFMO酵素によりTMAOへと代謝され、これがマクロファージを変化させアテローム性動脈硬化などの心血管疾患に結びついているとする論文 [3] が発表されている。また赤肉などに含まれるカルニチンも同様に腸内細菌 - 肝臓代謝を経てTMAOとなりこれがアテローム性動脈硬化のリスクを高めていると報告された。[4][5]

という少し怖い記述があり、料理の際にトリメチルアミンを飛ばすことは、美味しさに加えて健康面でも利点がありそうです。

西洋料理でも、魚料理や肉料理にはワインを使ったりしますし、臭みをとるためにアルコールを利用するという技術は世界で広く使われているようです。

お酒がいかに世界中の食文化に溶け込んでいるかを見れば、その恩恵が分かります。人類が酒を発見して本当に良かったなあと改めて思います

ちなみに、アルコールは人間にとって奇跡の毒物だというのを以前どこかで見たことがあります。お酒は、通常の量の摂取では脳に働き気分をとても良くしますし、血行も良くします。また、一気飲みはもちろん危険ですが、通常の飲酒では致死量にはなかなかとどきません。アルコールの致死量は、体重1kgあたり5g~14gと言われています。60kgの人なら、日本酒2.1Lくらいでしょうか。これも、相当する純粋なアルコールを一気飲みした場合ですので、実際に飲む量では大体安全でしょう。もちろん、ウォッカとかウイスキーなどのアルコール度数の高い酒は一気飲みした時の危険性が高いですが。更に、アルコールは依存性も程々です。利点が多く程々の毒性。そんなわけで、お酒は世界中でこれだけ広く受け入れられたのでしょう。

適度な飲酒を心がけ、お酒のすばらしい恩恵を十分に受け取って生きていきたいです。