喜びにしろ悲しみにしろ、その絶頂がどうであったかと、どのように終わったかだけが人が感じる喜びや悲しみの強さに影響するという仮説があります。
2002年のノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらが提唱したもので「ピークエンドの法則」とも呼ばれています。
ことわざでも「終わり良ければ全て良し」と言います。
この法則は、人生でも当てはまるのでしょう。 しかし、この法則でいう「終わり」をどこに設定するかによって生き方は大きく変わっていきます。
例えば、老後の生活費が心配だといって不本意な仕事でもまじめに定年まで務め上げる人は、「終わり」とは自分が死ぬ時のことで、その時点で良くありたいと考えているのかもしれません。惨めな状態で死にたくないという不安はとても理解できるものです。しかし、そんな幸せな終わりを自分では感じることはできませんね。死んでいるのですから。
もう少し時間を細かく見てみると、一日の終わりを終わりと捉えることもできます。一日の終わりを重要視するなら、賃金は多少低くても健全な仕事をして毎日を生きるという生き方もあります。このような人は、一日一日は満足に生きられるかもしれませんが、それほど大きな金銭的蓄えを作ることができず、何らかの事故があれば惨めな老後を迎えることもあるでしょう。
さらに、一瞬一瞬を終わりと捉えて、そこに集中するという生き方もあります。そういう生き方では、対価を得る仕事を行うことはもう困難になるかもしれません。純粋な哲学者・詩人・宗教人などはこのタイプに分類できるのかもしれません。
どれが正解ということはないのでしょう。また、実際の人は上記の3つに綺麗に分かれるわけではなく、これらの様々な割合の混合でしょう。人生の途中で生き方を変える人もいます。
スティーブ・ジョブズは言いました。
「今日が人生の最後の日だとしたら、今日やることは本当にやりたいことだろうか」
彼は、残念ながら若くして亡くなりました。死は自分が予期したよりも早く来るかもしれないのです。
皆さんは、どんな生き方をしていますか?