煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

『日本語の作文技術』(人生)中級者向けの文章技術書


みなさん、分かりやすい文章書いていますか? ここしばらく読み進めていた『日本語の作文技術』を読了しました。この本は、私が中学生か高校生の時に買ったのですが、当時は途中まで読んだだけでそのまま積読になっていました。最近ブログを書くようになって、文章の書き方に興味が出てきたので、この機会に読み返してみました。

分かりやすい文章を書くための原則

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

【新版】日本語の作文技術 (朝日文庫)

 

本書は、元朝日新聞の記者であった著者が、分かりやすい文章を書くための技術を紹介したものです。

ここで言っている「分かりやすい」は「意味に曖昧性がない」と言い換えても良いと思います。本書によると、重要なのは適切な語順と読点です。そして、そのための様々な原則が示されています。紹介されているどの原則もとても納得できるものであることは、本書を読んでいただければ分かると思います。

なお、本書の対象は実用的な文書であって文学的な文章ではないと著者は書いています。

しかし、私は常々、日本の作家が日本語で書いた小説(特に売れているもの)は文体の特徴はそれぞれあるけれども意味に曖昧性はなく明瞭に伝わる書き方をしている、小説家はさすが文章のプロだなあ、と感心していましたので、分かりやすく書くことは文学的な文章であっても重要であると個人的には思います。

逆に、私が読みにくいと感じる文章は下手な翻訳物の文章です。本書では、その原因と思われることにも言及しています。翻訳の際に元の外国語の語順に引きずられて、日本語として分かりにくい語順になってしまっているというものです。これなども、なるほどなあと思いました。

読者を引き付ける書き方

分かりやすい書き方を一通り説明した後、本書は、読者を引き付けて読ませる文章を書くにはどうすれば良いかという話題に移ります。つまらなくて読者が最後まで読まない文章は究極の分かりにくい文章と言えるからです。この部分でも、自分で応用できそうな様々な原則が紹介されていました。

中級者になってから分かる本書の価値

子供の時には読了することができなかった本書も、大人になった今はすんなりと読むことができました。すんなり読めると同時に、読んで新しい発見もあり、簡単すぎるという感じも受けませんでした。

社会に出て仕事をするようになって、仕事上の文書を分かりやすくするために語順に注意して書くことなどは既に実践していましたので*1、重要性も方法もある程度は理解していたことが、すんなり読めた理由の一つだと思います。

また、本書には本論とは無関係のところで著者の思想が多少強く出た部分があるので、例えそこに同意できなくても、「それはそれ」として読み続ける度量が必要になります。

加えて、使用される例文にルポや新聞記事から引用した硬派な内容のものが多く、子供には読むのが辛いかもしれません。

そういう意味で、文章も人生も中級者になった人向けの本であると言えるのではないでしょうか。

まとめ

読了した本多勝一著『日本語の作文技術』の感想を書いてみました。あとは、実践あるのみです。

おすすめですので、中級者の方はぜひ読んでみてください。

*1:子供の頃に読んだ本書の冒頭が無意識に役に立っていたのかもしれません