煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

【読書】村上春樹『職業としての小説家』後半を読み終わりました


村上春樹の『職業としての小説家』の後半(第六回以降)を読み終えました。なお、第七回〜第十一回までは、本書のための書き下ろしだそうです。

前半の感想は、下の記事に書きました。

 

www.bonnoutaisan.com

ゆっくりじっくり読みたい本

上の記事を書いてから、結構時間が経ってしまいました。読もうと思えば次の日にでも後半の感想を書けるくらいの分量だったのですが、なんというか、じっくり噛みしめて読みたいと思わせる本だったため、読み終えるのに時間がかかってしまいました。

後半の内容ですが、各回のタイトルは以下のようになっています。

  • 第六回 時間を味方につける ― 長編小説を書くこと
  • 第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み
  • 第八回 学校について
  • 第九回 どんな人物を登場させようか?
  • 第十回 誰のために書くのか?
  • 第十一回 海外へ出ていく。新しいフロンティア
  • 第十二回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出 

あまり、ネタバレになるのもあれですので(ぜひ自分で読んでもらいたいと思うのです)、私がなるほどと感じた所を、すこしぼやかして書いてみたいと思います。

各回の感想

「第六回 時間を味方につける ― 長編小説を書くこと」では、村上春樹の長編小説の書き方が述べられています。まず、小説って想像以上に時間をかけて書いているんだなと思いました。そして、第一稿を書き上げた後にそれを他の人に見せた時ケチを付けられたところに対する村上春樹の態度は素晴らしいと思いました(自分の人生にも活かしたいです)。

「第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み」では、小説を書く上での体力の重要性が語られています。小説に取り組んでいる時には、毎日原稿を書くことになるわけですが、小説家って本当に頭を使って集中して書いているんだなと思いました。恥ずかしながら、私はそこまで集中して文章を書いた経験はないです(プログラムのアルゴリズムを考えている時などは結構使っていると思いますが)。

よく知られていることかもしれませんが、村上春樹は毎日のランニングを欠かさないそうです。そうやって、小説を書くための体力を維持しているとのこと。村上春樹は、ものごとをストイックに我慢強く続けることができる人の様ですね。うらやましいです。

「第八回 学校について」では、学校における教育について書かれています。村上春樹は、高校生の時には既にペーパーバックの英語の本を読んでいたそうなのですが、英語の成績はそれほど良くなかったそうです。そんなことあるのかなと思いましたが、本人が言っているから本当なのでしょう。

「第九回 どんな人物を登場させようか?」では、村上春樹の小説に登場するキャラクターにはモデルがいるのか?とか、一人称小説から三人称を使った小説への変遷などが述べられています。

ちなみに、この回には『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のネタバレがちょっと入っています。私は、本書を読んでから一緒に買ったこちらの小説を読もうと思っていたので、順番を逆にすればよかったと少し後悔しました。

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)

 

「第十回 誰のために書くのか?」では、村上春樹が誰のために小説を書いているのかが書かれています。その答えは本書を読んでいただくとして、個人的に興味深かったのは、「総体としての読者」と「読者との信頼関係」を述べているところです。

「第十一回 海外へ出ていく。新しいフロンティア」では、村上春樹が海外(アメリカ)に進出した時の話が書かれています。日本の小説が広く世界で読まれるということは、嬉しいことですね。

 「第十二回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出」では、著者と友好のあった心理学者の河合隼雄氏との思い出が語られ、本書を締めくくっています。

村上春樹は信頼に足る人物だと感じている人はぜひ読むべき

この本を読んで一番感じたのは、村上春樹のバランス感覚です。なかなか人ができているなと。

なお、今回の記事では、ネタバレは最小限にして書いてみました。これまでに村上春樹の小説を読んでいて、村上春樹は信頼に足る人物だと感じている人にはぜひ読んで欲しいからです。

しかし、私は一読者として気軽に楽しく村上春樹の小説を読んでいただけなのであまり知りませんでしたが、本書によると、文学界では村上春樹に対する厳しい批評も結構あったそうですね。ということで、村上春樹が嫌いな人というのもそれなりにいるようなので、そういう人におすすめできる本かは分かりません。

まとめ

村上春樹『職業としての小説家』の後半の感想を書いてみました。個人的には、なかなか読み応えがある本でした。読んで良かったです。

 

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)