煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

日本は欧米に対する遅れを取り戻せたのか


少し真面目なことを書いてみたいと思います。

もう5年以上前になりますが、中国に旅行で行った時に「日本よりも10年遅れているな」とか「5年遅れているな」と感じたことがあります。中国にいったことのある他の人も、似たようなことを言っているのを聞いたことがあります。

遅れていると感じたのは、街の店とか提供されるサービス、人々の着ているものとかそういう社会の様子のことです。

最近では、「いや、最近はもう差がないか追い抜かされたよ」という話も聞きます。しかし、中国の大気汚染などの問題を見ていると、日本の昭和30年代か40年代かと思わせる有様で、この点では中国はまだ相当な遅れ(50年以上?)をとっているようです。

中国も近年ものすごい勢いで日本を追ってきて(ある分野では追い抜いた)わけですが、中国の大気汚染の例で分かるように、追いつき追い越したと思っていても、大きく見るとやはり追い抜けていないのです。

おそらく、中国が日本からこのように遅れている理由は、突き詰めていくと、日本が1853年のペリー来航を契機に開国し、いち早く欧米の進んだ科学技術や社会制度を取り入れたからということになるのではないでしょうか。明治の頃の歴史をみると、日本は、本当に怒涛の勢いで色んな物を欧米から吸収していったことが分かります。

こう考えると、先にスタートした者には、大きなアドバンテージがあるのですね。

もちろん、進んでいる・遅れているは価値観によって変わるものです。ここでは、今世界で席巻している欧米型の科学技術・民主主義で代表される価値観のもとで、進んでいる・遅れているを考えています。

日本は、明治期と戦後期に、怒涛の勢いで欧米の最も進んだ文明に追いつこうとし、一部では追い抜かしたかのようにも見えました。

しかし、上で述べた日本と中国の関係は、そっくり欧米と日本にもあてはまるのではないでしょうか。例えば、日本は自動車の技術でアメリカを追い抜いたと言ってもよいと思いますが、その間にアメリカはその先の宇宙やITなど最先端の技術に進み、そこでのリードを確かなものにしています。

そして、最近では自動車でも、電気自動車や自動運転の分野で旧来の自動車の技術に取って代わろうとしていて日本企業の優位性も危うく思えてきます。

また、科学技術は比較的追いつきやすい分野ですが、なかなか簡単には換えられない社会制度などは、遅れを取り戻すのはかなり難しいのでは無いでしょうか。例えば、日本には本当の民主主義は根付いていないという議論もよく聞きます。

日本からはアップルもグーグルも出ていませんが、その中で働いている人は実に多国籍です。結局、アメリカには、そういう新しいことをする企業が生まれやすい社会制度のアドバンテージがあるのだと思います。

この前テレビで、東京大学とハーバード大学の基金の額の差がすごいというのを見ました。調べてみると、東京大学の基金が400億円に対して、ハーバード大学はなんと4兆円以上。これらは、元はといえば大学に対する寄付金の差です。学問に対してこれだけの意識の差があったら、そら、追いつけませんよね。

あと、日本は明治期には外国人を積極的に雇って最新の知識を貪欲に吸収していたわけですが、そのような国際的な態度はいつのまにか無くしてしまったようです。どこかで追いついたと勘違いしてしまったんでしょうね。今、日本の大学の外国人教師の数は、世界の他の大学に比べて極端に少ないということです。今こそ、大量の外国人教授を雇って教えてもらうべきなのではないでしょうか。

結局日本は、相当頑張ったけれど、欧米に追いついていなかったんじゃないでしょうか。そして、悲しいことに、元気良く追いかけていたときの勢いはもうありません。

もちろん、大逆転はありえます。現在の欧米の流れとは一線を画す方向で、産業革命に匹敵する革命を起こせたならば、この状況を変えることも可能でしょう。いち早く文明が栄えたエジプトや中国と言った地域を時代遅れにしたのは、そういう革命だったからです。

あるとすれは、高齢化社会を乗り切るためのいち早いロボットの利用や医療技術あたりは有望だと思います。しかし、科学技術のテーブルの上に載っている限りは、結局アメリカに持っていかれる気もします。

科学技術とは違う精神的な分野・文化の分野での革命ならば、もう少し望みはあるかもしれません。昔から日本はその点ではリードしている分野もあるように思いますし。

あまり、悲観的なことばかり言っていてもしかたありません。最近良く言うことですが、既に国単位でものを考えること自体が時代遅れになっている予感もします。今後は、各人が世界のトップレベルを取るつもりで頑張っていけば良いという時代になるのかもしれませんね。