漢文を再勉強しようと思い立ち『漢文法基礎 本当に分かる漢文入門』という本を購入して読み始めました。
独特の語り口が楽しい高校生向けの参考書

- 作者: 二畳庵主人,加地伸行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/10/13
- メディア: 文庫
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本書は、20年以上前にZ会から出版されていた高校生向けの漢文の参考書を復刻したものだそうです。アマゾンで評価が高かったので、購入してみました。
家に届いてから、さっそく最初の方を読んでみましたが、独特の軽妙な語り口で書かれていて、読んでいて楽しくなりました。生徒の興味を引くために面白い話を織り交ぜながら授業をする先生の話を聞いているような気になります。
人によっては、くだけすぎていてついていけないと感じるかもしれませんが、私は内容が良ければそこらへんは特に気にしません。そして、まだ冒頭を少し読んだだけですが、なかなか良い参考書なのではないかという印象です。
漢文の勉強法:音読派と訓読派
下の記事で私は、高校生の時いまいち漢文が好きになれなかった原因は、漢文をちゃんと別の外国語として教えてくれなかったからではないかと書きました。
本書によりますと、そのように外国語として教える方が良いと考える人達のことを「音読派」と呼び、従来の書き下し文を中心に教える方が良いと考える人達のことを「訓読派」と呼ぶのだそうです。そして、音読と訓読のどちらが良いかというのは奈良時代からある論争で、簡単に決着が着くものではないということなのだそうです。
そして本書の著者は、訓読派の立場をとっています。漢文という教科は、日本人が中国語の文献をどのように読解してきたかという歴史的プロセスまでも楽しむ教科だからというのがその理由です。もちろん、大学で漢文を専門に学ぶ場合は、訓読と音読の両方をするそうですが。
私が当初期待していた方向性の参考書ではなかったのですが、訓読派の主張にもなるほどと思わせるところがあります。結局、高校の先生がこういう事情をちゃんと説明してくれなかったのがいけなかったのかもしれません。
ということで、しばらくこの本にしたがって漢文の勉強をしてみようかなと思っています。
夏目漱石などの文章を読むのも良い
明治の頃までは漢文を理解して書ける人がかなりいました。ですので、その頃の小説などには漢文風の表現が多く使われています。そのような「漢文脈」の文章をたくさん読むというのも、漢文の勉強になるそうです。
例えば有名な所だと、夏目漱石。青空文庫にある「吾輩ハ猫デアル」を見てみてください。
この旧字旧仮名遣いのオリジナルの「吾輩ハ猫デアル」は、正直、読むのが辛いです。自分の教養の無さを痛感します。
確かに、これなどをスラスラ読めるようになったら、古典や漢文に一歩近づいたという気がしますね。そういう勉強法も良さそうです(ただし最近では古い作品は新仮名遣いに直して出版されていることが多く旧仮名遣いのものは手に入れにくくなっているようですが)。
まとめ
漢文の再勉強のために『漢文法基礎 本当に分かる漢文入門』を購入したので、冒頭を読んだ感想を書いてみました。評判通り、漢文を勉強するのになかなか良さそうな本です。
この本にも書いてありましたが、現代日本では漢文の教養は絶滅危惧種になってしまったようです。まあ、趣味でやるにはそのくらいマニアックな方がやりがいがあるかもしれませんね。