この前Kindleの月替りセールで購入したバルバラ・ベルクハン『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』を読みました。
私は今はそれ程ストレスもなく生きているのですが、勤め人だった頃には、結構ストレスを持って生きていました。
本書のタイトルは、勤め人だった頃に読みたかったなと思わせるものです。また、サンプルの冒頭を読んでみた感じでは、今後の人生にも役立ちそうだなと思ったので、購入してみました。人生、いつまたストレスフルな生活になるかわからないですからね。
タイトルに偽りあり?

- 作者: バルバラ・ベルクハン
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2013/12/14
- メディア: Kindle版
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本書のタイトルは『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』となっていて、私は初め、様々な「グサリとくる」言葉に対して、それぞれどのように対処したら良いかという実例集のようなものになっていることを期待していました。
しかし実際には、もう少し広い、人生における様々なストレスにどう対処したら良いかという本になっていました。
本書で扱っているテーマは、大きく分けて以下のとおりです。
- 内なる批判者(自分)をどうコントロールするか
- 非人情になるには(適切に心を閉ざす)
- 感情の暴走(怒りの連鎖)を止めるには
- 良い批判と悪い批判の見分け方
- 悪い人達と縁を切る
どのテーマの章も、読んでいて「そうそう」と同意できることばかりでした。特に、本書に出てくる「積木くずし名人」「毒蛇の巣窟」という言葉は言い得て妙だと思いました。私の周りにもいましたね、積木くずし名人。私自身が他の人に対して積木くずし名人でなかったかというと自信がありませんが…
それから、悪い批判の見分け方はその通り。
「あなたに尊敬を払っているか、言葉遣いにまごころがこもっているか、非難や蔑みの言葉になっていないか」
これは、私も最近常々感じていることです。言葉遣いに問題がある批判は聞く必要はありません。
ちなみに、本書の原題は ドイツ語で ”So Bin Ich Unverwundbar” です。Unverunderは『難攻不落』『無敵』『傷つかない』くらいの意味だそうです。
なので、本書のタイトルは『だから私は無敵』くらいが良かったのではないでしょうか。
多少具体性に欠けるが、このこらいの方がちょうど良いのかも
本書を読んで感じたのは、「こういう状態は悪いから、そうならないようにしましょう」という議論は多いのですが、実際にそうならないための方法の実例はあまり詳しくは書かれていなということでした。
そもそも「これは悪い状態である」ということに気づいていない人にとっては、悪い状態に気づかせてくれるという点で、本書はとても有用だと思います。
次に、悪い状態については分かっていて、具体的にどうすれば良いかを知りたい人には、本書は少し物足りなく感じると思います。それができたら苦労しないよと。
しかし考えてみれば、自分も相手も千差万別。自分にあった方法を人生の中で試行錯誤で見つけていくしか無いのかもしれません。そうすると、本書くらいの詳細度がちょうど良いとも言えそうです。
また、この本は、どちらかと言うと今自分を卑下しすぎて自信がない人に向いていると思いました。
やさしい教えではない
本書の根底にある考えは、「自分が第一」「悪い人とは関わるな」「悪い人とは縁を切れ」というものだと私は理解しました。また、それにはかなり同意できます。しかし、本書にしたがって行動した場合、それによって、相手をさらに怒らせたり、軋轢を生むことも考えられます。
しかし、それも承知の上で、信念をもって自分の生きる道を生きなさいということだと思います。これは、最近読んだ原始仏教の経典『スッタ・ニパータ』に出てくる「犀の角のようにただ独り歩め」の精神と似ているなと感じました。

- 作者: 中村元
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1958/01/01
- メディア: 文庫
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まとめ
『グサリとくる一言をはね返す心の護身術』の感想を書いてみました。この手を読んだことがない人には、オススメだと思います。ある程度人生経験を積んだ人にとっては、既に心得ていることも多いかもしれません。