昨日の記事で紹介したように、Kindleの雑誌99円セールでカメラ雑誌を買いました。それを読みながら、カメラ初心者の私がカメラ関係の記事を読む時に必要になりそうな基礎知識をまとめてみました。既にある程度知っている用語もありましたが、忘れかけていた用語もあって、いい勉強になりました。
F値(絞り値)
レンズに入る光量を調整する絞りの程度を表す値のこと。大きいほど絞りを絞っている状態。
F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32などがこれにあたる。
F値が大きいと
- 写真は暗くなる。
- ピントが合う距離の範囲(被写界深度)が広がる(全体にくっきり写る)。
F値が小さいと
- 写真は明るくなる。
- ピントが合う距離の範囲(被写界深度)が狭くなる(背景をボケさせる効果)。
なお、F値が√2 倍ずつ大きくなっているのは、光の量が2倍(1/2)になるようにするため。例えば、F値を2.8から2に変えると入る光の量は2倍になる。
一眼レフカメラなどの高級なカメラはF値を変化させる機能をもつ。カメラによっては、2倍より小さな刻みで調節できる機種もある。
F値(レンズの性能値)
また、F値はレンズの性能値の一つとしても使われる。
これは、開放絞り値といってそのレンズで一番絞りを開いた時のF値の事。
F値の小さいレンズを「明るいレンズ」と言ったりする。
F値は、以下の式で計算される。
F = f / D
fは焦点距離、Dはレンズの(有効)直径。つまり、焦点距離が長ければF値は大きくなり(暗くなり)、レンズの直径が大きければF値は小さくなる(明るくなる)。高いレンズの口径が大きいのはこのためか。
注意点としては、F値はレンズの透過率は考慮していないこと。透過率も考慮して実際に撮像素子に届く光の強さを表すものとしてT値がある。
カメラのレンズは、収差(後述)を無くすため、複数枚のレンズを組み合わせたりコーティングを施したりすることが多いが、そうすると光の透過率は下がってしまう。できるだけ透過率を下げないレンズが良いレンズといえる。
シャッター速度
画像センサーに何秒間光を当てるか。
シャッター時間が長いと
- 写真は明るくなる
- 動いているものはブレて写る
ブレに弱いので、三脚でカメラを固定して撮影することもある。
シャッター時間が短いと
- 写真は暗くなる
- 動いているものははっきり写る
ISO感度
画像センサーの感度の値。大きくすると微小な光にも反応する(写真を明るくできる)が、ノイズも多くなる。デジタルカメラではこの感度を色々変えることが出来る。数字が大きいほど感度が高い。
焦点
平行光線がレンズに垂直に入光した場合に光が集まる点。太陽の光はほぼ平行光線なので、虫眼鏡で太陽の光を集めて一点になる所を想像するとよい。
普通写真を取る場合は、有限距離にある物体から発せられた平行でない光が収束する点「結像点」が重要になる。その場合、結像点は焦点よりも後方になる。
結像点の位置に撮像面(CCDセンサーなどの撮像素子やフィルム)がちょうどある時、「ピントが合っている」という。
焦点距離
レンズの中心から焦点までの距離。
望遠レンズ
撮像面に写った像が実際の対象物体の何倍の大きさになっているかを倍率という(他の場合に倍率という言葉を使うこともあるので注意)。
a’ = f / m
b ‘ = f × m
という関係式がある。a’は(レンズの外側の)焦点から物体までの距離、b’は(レンズの内側の)焦点から結像点までの距離。mは倍率である。
例えば、20m(20000mm)先にいる体高30cm(300mm)の鳥を、35mmフィルムの半分くらいの大きさ(12mm)に写したいとする。この時、どのくらいの焦点距離のレンズが必要かを考えて見る。なお、35mmフィルムの撮像面の大きさは縦24mm x 横36mmである。
まず、倍率は 12/300 = 0.04倍となる
20000 - f = f / 0.04
この方程式を解いてみると
f = 769mm
となる。このとき、
b’ = 30mm となって、カメラの大きさのイメージとも合う。
また、上の式からは、焦点距離が長ければ、より遠くのものを同じ大きさで写すことができることが分かる。そのようなレンズを望遠レンズと呼ぶ。
つまり、望遠レンズ = 焦点距離の長いレンズである。
一般的に、焦点距離が135mmを超えるようなものを望遠レンズと呼び、300mmを超えてくると超望遠レンズと呼ぶ。なお、焦点距離が50mmのレンズを標準レンズといったりする。
ズームレンズ
ズームレンズとは、焦点距離を多段階で変えることができるレンズである。ズームレンズの性能で「10倍ズーム」と言うときの10倍の意味は「最も長い焦点距離が最も短い焦点距離の10倍ある」という意味であり、物体が10倍になるという意味ではないことに注意。
画角
カメラの前方何度の範囲が写真に写っているか。焦点距離が短いほど画角は大きくなる。
広角レンズ
画角が大きいレンズ、つまり、焦点距離が短いレンズのこと。一般に画角が100°から60°のものを、広角レンズと言う。焦点距離でいうと、大体35mm以下のもの。
ピント
ピントを合わせる方法には
- 物体との距離を変える
- 焦点距離を変える
- レンズの位置を変える
- 撮像素子の位置を変える
という方法があるが、カメラでは主に3の方法が使われる。手で動かしたり、カメラがモーターを制御してレンズ位置をずらす。
ちなみに、人間の目は筋肉で水晶体の厚みを変えることで焦点距離を変えてピントを合せている。
AF(オートフォーカス)
ピントを指定した物体(よくあるのは、画面の中心にある物体)などに自動で合せてくれる機能。コントラスト検出方式や位相差検出式などの方式がある。
デジカメでは、シャッター半押しでピント合せが行われることが多い。その状態で、カメラの向きを変えても、そのものにピントを合わせたままにしてくれる。この状態(AFロック)でカメラの向きを変えれば、写真の中心から外れたところにピントが合っている写真がとれる。
被写界深度
ピントが概ねあっている対象の(カメラからの)距離の範囲。この範囲が大きいことを「被写界深度が深い」、逆に、範囲が狭いことを「被写界深度が浅い」と言う。
被写界深度とカメラの各種特性の間には、以下の様な関係がある。
被写界深度 | 浅い | 深い |
---|---|---|
焦点距離 | 長い | 短い |
F値(絞り) | 小さい(開く) | 大きい(絞る) |
被写体距離 | 近い | 遠い |
被写界深度が浅いと、注目している物体以外はボケた写真をとることができる。プロっぽい。
逆に、被写界深度を深くして、あらゆるものにピントがあった状態を「パンフォーカス」という。焦点距離の短いレンズや絞りを絞ることによって作ることができる。
パンフォーカスではピントを気にする必要が無いので、素人向けのカメラではそのような設定になっていることがある。
露出補正
撮像素子にあたる光量を、カメラが決めた標準的な量から変えたい時に使う。実際には、F値(絞り)とシャッター・スピードが調整される。
ISO感度とは別の概念である。
露出ロック(AEロック)
狙った物体が適切な明るさで写るように、その物体に露出を固定する機能。
逆光で物体を撮りたい時、カメラが空の明るさに合わせて露光を調整してしまって物体が真っ黒に写ってしまうことがある。そんな時は、物体にAEロックをしてから取ると物体が適切な明るさで撮れる。
センサーサイズ
デジカメで使われている、撮像素子の大きさ。
有名なものでは、フルサイズ(35mmフィルム)、APS-Cサイズ、マイクロフォーサーズ、1型などがある
フルサイズ | APS-C | マイクロフォーサーズ | 1型 | |
---|---|---|---|---|
横 x 縦 | 36mm x 24mm | 23.4mm x 16.7mm | 17.3mm × 13mm | 13.2mm × 8.8mm |
各機種により、もっと小さいセンサーを使っているものも多い。
- センサーサイズが大きいほど、画角は大きくなる。
- センサーサイズが大きいほど、画素数が同じならば一画素の面積が大きくなるためノイズが少ない。
- センサーサイズが小さいほど、焦点距離を短くする必要があるので、ボケが出しにくい。
高級なカメラほど大きなセンサーを使う傾向にある。
まとめ
カメラ初心者の私が理解した範囲で、デジタルカメラに関する用語の意味をまとめてみました。どなたかの参考になれば幸いです。
まとめるにあたって、前回のカメラ熱が出た頃に購入した『よくわかる最新レンズの基本と仕組み』も参考にしました。

図解入門よくわかる最新レンズの基本と仕組み (How‐nual図解入門―Visual guide book)
- 作者: 桑嶋幹
- 出版社/メーカー: 秀和システム
- 発売日: 2005/03/14
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
この本は、レンズについての少し詳し目の本で、カメラに限らず、人間の目や、顕微鏡・望遠鏡など様々なレンズにまつわる知識が得られるので、おすすめです。半分くらい読んでそのままになっていたので、よい再勉強になりました。
調べていたら、ますます新しいデジカメが欲しくなってきてしまいました。一番気になるのが、以前使っていてなかなか良かったGR IIの後継機種。

RICOH デジタルカメラ GRII APS-CサイズCMOSセンサー ローパスフィルタレス 175840
- 出版社/メーカー: リコー
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: Camera
- この商品を含むブログを見る
ですが、デジカメの最新動向を全然フォローできていないので、買うとしてもそれを調べ終わってからですね。ということで、しばらくは物欲を封印できそうです。