皆さんの脳は100%のパフォーマンスを発揮できていますか? 肉体労働をしているわけでもないのに、一日が終わった時に心身ともに疲れきっていませんか? 本書では、疲れない脳をつくるための生活習慣を、瞑想(マインドフルネス)を中心に紹介しています。

- 作者: 石川善樹
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2016/01/28
- メディア: Kindle版
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5月のKindle月替りセールで見つけて欲しいものリストに入れていたこの本を、昨日購入して読んでみました。
瞑想を中心として疲れない脳をつくる
著者は、予防医学の研究者の石川善樹さんという方で、最新の医学的研究を元に、疲れない脳を作るための生活習慣を紹介しています。
本書でキーになるのは、瞑想(マインドフルネス)です。
それを中心として、姿勢、呼吸、睡眠、食事(血糖値のコントロール)といった日常生活において心がけるべきことが簡潔に解説してあります。
一時間ほどで読み終わるくらいの分量で、重要な知識が簡潔に満遍なく網羅されているという印象を受けました。既に知っていることも多かったですが、この手の知識がない人には、良い入門書になるのではないでしょうか。
私が興味を持った点を、簡単に紹介してみたいと思います。
背筋を伸ばして深い呼吸をする
「背筋を伸ばしなさい」これは、子供の頃からよく言われることです。しかし、守ることが出来ないことの一つでもありますね。しかし、このような日常的にできることが全てのベースになります。
呼吸は、深くゆっくりすることが大切です。
- 息を吸う時は交感神経(興奮)、吐く時は副交感神経(リラックス)
- 息を吐く時には二酸化炭素が体にたまり、幸せな気分を引き起こすセロトニンの分泌が増える
こういう性質がありますので、リラックスしたいときには息をゆっくり吐くことが重要だそうです。
本書では言っていませんが、興奮したいときには、逆に吸う方に重点を置けば良いのだと思います。
瞑想(マインドフルネス)を生活に取り入れる
本書で紹介されているのは、最近流行っているマインドフルネス系の瞑想です。私が最近読んだ「ヴィパッサナー瞑想」のことですね。お釈迦様の瞑想にも通じるもので、感覚をひたすら実況中継する「観察瞑想」を行うことで、妄想や感覚に振り回されない安定した心を作り上げます。
ヴィパッサナー瞑想については、個人的にはこちらの本もおすすめです。

自分を変える気づきの瞑想法【第3版】: ブッダが教える実践ヴィパッサナー瞑想
- 作者: アルボムッレ・スマナサーラ
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2015/07/09
- メディア: Kindle版
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瞑想には、次のような効果もあります。
- 観察瞑想をすると脳がアイドリング状態に近づく
- アイドリング状態ではアイデアや発想がひらめきやすい
- かすかな変化を感知する能力がUPする
個人的に興味深かったのは
- ロンドンのタクシーの運転手は記憶を司る海馬が大きい
- 瞑想をする人は前頭前野や海馬の神経細胞の密度が増加する
- 瞑想をする人は怒りや恐怖に関係する扁桃体が小さくなる
→ 大人になっても脳の構造は変えられる
- 瞑想中のチベット僧の脳は、幸せな状態(前頭前皮質が活性化)だった
- そのチベット僧の頭の中は「他者への思いやり」でいっぱいだった
→ 他者への思いやりを持つと人は幸せになる
というところです。
特に、「瞑想をする人は怒りや恐怖に関係する扁桃体が小さくなる」というのは、凄いなと思いました。
一方で、瞑想にはやり過ぎの危険は無いのだろうかということが気になりました。本能的な怒りや恐怖は、生物として生きていく上で重要な感情だからです。
そういう感情が無いと、例えば、人のために自分の命をなげうつという行動が平気で出来てしまうということになります。そのような人を「聖人」と呼ぶのでしょうが…
習慣化のコツ
本書では、瞑想などを習慣化するコツも書かれています。
- 少しずつ
- ついでに
- お得感
これは私が最近思っていることとかなり近いです。まあ、最近これ系の本をかなり読んでいるので、共通する真理に近付いているということかもしれません。
睡眠はとても重要
睡眠も脳にとってとても大切です。これを整えないことには、仕事もうまくいかないでしょう。
- 7時間睡眠が理想(個人差、年齢の影響あり)
- 6時間睡眠の人は脳の老化が2倍
- 6時間睡眠の人はほろ酔いと同じ認知機能
→ 睡眠不足で仕事の効率が悪くなり、その結果忙しくて眠れないという悪循環
寝不足だと太る
浅いレム睡眠は心の休息。記憶の定着。
- 深いノンレム睡眠は脳と体の休息。成長ホルモン。記憶の統合。
→ どちらも大事
- 体内時計の調節には光と食事が大事
→ 朝起きて光を浴びて朝食を採るのが重要
- 休日の寝だめは良くない
→ 時差ボケのようなものを引き起こす
寝不足が悪いということが分かっていても、ついつい夜更かしをしてしまうものです。これは、厳しい心で寝る時間を早めるのしか無いのかもしれません。
姿勢を良くする
PCモニタとキーボードの位置に気をつけることが重要。
この章で紹介されているPCでの作業姿勢は、少し目からうろこでした。以前ネットで見たキーボード二刀流とともに、ぜひ試してみたいです。
- 座り過ぎは死亡リスクを増加
- 水を良く取ると、トイレに行きたくなるので座り過ぎ防止になる
血糖値をコントロールする
血糖値が急激に上がると、インスリンが過剰に分泌されて、その後血糖値が急激に下がります。これが脳に良くなく、イライラや集中力の低下の原因となります。
これを防いで、一日の間で血糖値を出来るだけ一定にすることが重要になります。
そのためには
- 三食ちゃんと食べる(おやつも入れて3~4時間間隔が良い)
- 玄米・全粒粉など食物繊維が豊富な食材を食べる
- 低GI値の食材を食べる
- 野菜から食べる
という方法があります。
砂糖などの糖類は良くありません。また、意外なのは、ゼロカロリーの人工甘味料でもインスリンが分泌されるということです。血糖値のコントールをしたい場合には、人工甘味料にも気をつける必要がありそうです。
余談ですが、私は元々、人工甘味料の味が好きではなく、缶コーヒーなどに「微糖」とか書いてあると、「こっちは糖分が欲しいんじゃ。普通の砂糖使ってくれよ」という感じで残念な気持ちになっていましたね(もう缶コーヒー自体が口に合わなくなったので飲んでいないですが)。
私は以前は夕食1食派でした。その方が、頭が冴えて仕事が捗るように思えたからです。そして、夜には大量の飲酒とドカ食いをしていました。
本書に載っている血糖値の変化のグラフを見ると、日中の血糖値の値は夕食だけの場合が(レベルは低いですが)一番安定しているんですよね。ただし、夕食後の上下が酷いので体には悪そうですが…
当時は、ストレスで脳がおかしくなっていたのかもしれません。また、飲酒とも関係するのかもしれません。
今は三食ちゃんと食べていますし、酒量も普通になりました。慣れてしまうと、こちらの方が良いような気がしています。また、これは個人的な印象ですが、昼ごはんで酢を摂ると午後の眠気が少ない気がしています。
まとめ
『疲れない脳を作る生活習慣』を読んで、個人的に良いと思ったところを中心に、簡単に紹介してみました。
大体は、体に良い事ととして既に言われていることが多かったかもしれません。「三食ちゃんと食べる」というのもそうです。しかし、この当たり前を習慣に出来ている人はどのくらいいるでしょうか。案外難しいものだと思います。
紹介しきれなかったところもありますし、理解が正確ではないところもあるかもしれません。とても分かりやすい本だと思いましたので、興味のある方は是非読んでみてください。