小麦粉に水を混ぜてこねて伸ばすと麺ができます。パスタ、うどん、素麺、ラーメンなどの殆どの麺類は基本的にはそのようにして作ります。では、なぜ小麦粉を水でこねることで麺が出来るのでしょうか。また、小麦粉を使わない蕎麦などはどうして麺になるのでしょうか。少し調べてみました。
小麦特有の成分
小麦粉には、タンパク質が含まれています。
例えば、強力粉ならば、重量の12%以上ものタンパク質が含まれています(ちなみに米は7%以下)。
そのタンパク質の中に、グリアジンとグルテニンというものがあります。
これら二つのタンパク質は、水と結合するとグルテンというタンパク質を形成します。
このグルテンには、粘りと弾力性があります。これは、細長く伸ばしたり、薄くのばしても切れないということを意味します。
これが、小麦粉を水を混ぜて練ると麺を作ることが出来る理由です。
また、パンを焼くと中に気泡がたくさん出来てふわふわになるのもこのグルテンのおかげです。
グルテンを強化する方法
グルテンには、以下のような性質があります。
- ビタミンCなど酸化成分を添加すると強度が増す
- 水分が多いと強度は弱まる。ただし、水分が少なすぎてもグルテン自体の量が少なくなりもろくなる
- 捏ねる時間や強度によっても調整できる
- 塩分を添加すると強度は増す
- 砂糖などの糖分を添加すると強度が弱まる
- 油脂類を添加するとタンパク質の結合を阻害するため強度が弱まる
- サワードウなどの生地本来の酸性度により強度は変化する
(Wikipediaより引用)
パスタやうどん、素麺を作るときに塩を粉に添加するのは、グルテンの強度を上げるためです。
グルテンを含まない材料で作る麺
このように、麺作りには欠かせないグルテンですが、グルテンが含まれない材料からも麺が作られることがあります。
その代表的なものが蕎麦です。
蕎麦にはグルテンが含まれません。では、なぜ蕎麦は麺になるのでしょうか。
蕎麦には大きく分けて二つの作り方があります。
一つは、グルテンを含む小麦粉をつなぎとして混合して作る方法です。小麦粉の割合が20%のものを「二八蕎麦」と言ったりします(諸説あり)。
もう一つは、蕎麦粉だけで作る十割蕎麦です。
十割そばを作る場合、二つの方法があります。
一つは、小麦粉の時と同じように水で練って作る「水ごね」です。この場合、蕎麦に含まれているグルテンとは別の水溶性のタンパク質の粘りを利用して麺にしますが、結合力はそれほど強くはありません。
もう一つは、「湯ごね」という方法で、これは熱湯で蕎麦粉を練る事によって、蕎麦粉のデンプン質をα化して粘りを出し、その力で麺にするというものです。
この「湯ごね」は、「水ごね」より練る力が比較的小さくて済むことから、農山村での蕎麦打ちではよく使われてきた方法だそうです。
また、米粉から作るベトナムのフォーも、このデンプンのα化を利用しているものと思われます。
つまり、世の中の麺には、大きく分けて、小麦粉のグルテンを利用するものと、その他のタンパク質の粘りを利用するもの、デンプンのα化を利用するものなどがあるということですね。
原理を知って切れない蕎麦を作る
実は、こんなことを調べていたのは、最近挑戦した蕎麦打ちで、そばが短く切れるという失敗をしたからです。
打ちやすいという二八蕎麦で切れてしまうというのは、明らかに腕が悪いのですが、ここまで説明してきた麺が出来る原理を知っていると、より切れにくい蕎麦を作る方法というのもなんとなく想像できます。
例えば、二八蕎麦の場合
- 塩を入れてみる(グルテンを強化)
- 酢を入れてみる(グルテンを強化)
- お湯で練ってみる(デンプンをアルファ化)
といったものです。
これらの方法は邪道かもしれませんが、私は何もプロの蕎麦屋になろうと思っているわけではありません。
安くそこそこの美味しさ(乾麺やゆで麺よりは美味しい)の蕎麦が作れればそれで良いのです。
まとめ
小麦粉から麺が出来る原理、蕎麦粉から蕎麦が出来る原理などを調べてみました。これらの原理を知って、より簡単に美味しいパスタや蕎麦を作ることに活かしていけたらなと思っています。