「梅干しを干した」という表現は良く考えると変な表現ですよね。干した後に初めて梅干しになるのですから。でも「梅を干しました」だと少し誤解の可能性もありますし。「塩漬け梅を干しました」が一番正確な表現と言えるのでしょうか。
梅干しを干すタイミング
皆さんご存知の通り、梅干しは塩漬けの梅を天日で干して作るから「梅干し」と呼ばれます。
梅雨の時期に出回る梅を塩で漬けて、一月程経ったら、天気の良い連続する3日を使ってそれを干します。
不思議なことに、梅雨明けの日から3日間は良く晴れると言われていて、梅雨が明ける土用の頃に行うことが多いので、「土用干し」とも言われたりします。
私はこれまで8月に入ってから干すことが多かったのですが、今年は梅雨明けのこの時期に干してみることにしました。
実際、梅雨明け宣言をされた日から三日間は、天気予報の通りにいかず晴れることが多いような気がしますね。天気予報もまともに無かった頃からこの時期に梅を干すと良いということが伝わっているということは、何か統計的にあるのだと思います。
漬け込みの様子はこちらを御覧ください:
梅干しの干し方
塩漬けした梅は、ザルの上に置いて干していきます。
この時、漬け汁はできるだけ容器に残るようによく切って、梅を取り出します。なぜなら、この漬け汁は、「梅酢」として利用価値が高いためです。
漬け汁が入った容器も、日の当たる場所に置いておきます。殺菌のためだそうですが、実際どのくらいの意味があるのかは分かりません(塩分濃度が高いので既に十分殺菌はされていると思うのですよね)。
干している梅は、出来れば一時間くらい毎に、裏返したり置く所を変えたほうが良いでしょう。特に日当たりの悪い所だと、日があたる場所が時間とともに結構変わります。
干している梅は、ホカホカと温かくなっていて、太陽のエネルギーの強さを実感できます。
裏返す時には、皮が破けないように、丁寧に扱います(下がくっついている場合があるので注意します)。
干し方には、色々流儀があるようです。一番差が出るのが、干した梅を夜どうするかです。そのまま外に置いておいて夜露に晒すという方法もあれば、漬け汁に戻すという方法もあります。
私は、夜は漬け汁に戻すという方法を採用しています。つまり、一日目の干しの後と、二日目の干しの後は漬け汁に戻しておくわけですね。
この方法をとっている理由は、単に夜外に出しっぱなしというのが心配なためです。
せっかく干したのに漬け汁に戻したらまたふやけて元に戻ってしまうのでは?と思われるかもしれませんが、意外にも梅は日を追うごとに段々としぼんで水分が少なくなっていきます。
結局、この干しの作業は、太陽の光や熱での殺菌や風味の追加と、塩分濃度の上昇という効果を狙っているのだと思います。
塩分濃度に関しては、昼間干すことにより水分が飛び梅の塩分濃度は上がります。それを夜漬け汁に戻すと、塩分濃度が相対的に低い漬け汁が梅に一部戻っていきますが、全体としては塩分濃度は上がっていくということで、夜に漬け汁に戻す方法でも良いのでしょうね。
梅干しを干すことにどのような効果があるかについての科学的研究ってあるのでしょうか。ちょっと調べてみたくなりました。
さて、こちらが、一日目の干し始めの様子です。
まだまだ水分量が多い印象です。
そして、こちらが、一日目の干しが終わって、漬け汁に戻したところです。
こちらは、二日目の様子です。
少し水分が飛んで、シワが多くなってきました。
下は、三日目の干しが終わった時の様子です。
ちょっと塩を吹いているのが分かりますね。また、色もほんのりと赤みがでました。
三日目は晴れてはいても雲が多めで日差しが少し弱かったのが残念でしたが、これで干し終わりとしました。
(今日の方が日差しが強かったので、今日まで干しておけば良かったですね。梅を干すと分かりますが、今の天気予報はまだまだ精度が低いです)
三日目は漬け汁に戻さず、外で日に当てて乾燥・殺菌しておいた瓶に詰めていきます。
全部で上の写真の量になりました。
私の消費量だと、この量で二年強もちます。今、使っているのが2012年物で、後、2014年物がまるまる残っています。
梅干しは減塩したものでなければ、ほとんど永久に保存できます。
この前テレビでやっていた梅干し名人の梅干し倉庫には、何十年も前の梅干しがあって、普通に食べられる状態で残っていました。
味も、出来上がったばかりのものよりも、一年以上寝かしてからの方が落ち着いて良くなります。
実際、出来上がったものは一粒味見するのですが、まだ味がこなれていません。また、フルーツぽい香りも強すぎるようです。
最後に、残った漬け汁も綺麗に洗って乾かした瓶に入れて「梅酢」として保存します。これは、「液体梅干し」といったようなもので、梅干しと同じように保存がききます(少なくとも二年以上もつことは確認済みです)。
梅酢を入れる瓶は、私は日本酒の4合瓶を使っています。この四合瓶だと、調味料として少しずつ使うのに便利です。
瓶に入れるときは、漏斗を使うと入れやすいですね。
この位の量になりました。
多少の梅のカスが混ざっているため瓶に入れた直後は多少濁っていますが、しばらくすると固形分は瓶の下に溜まって、透き通った液体となります。
この梅酢は、万能調味料として、刺し身の醤油に混ぜたり、酢の物を作る時に入れたり、色々な方法で使うことができます。私はやっていませんが、これに生姜を漬けて生姜漬けを作ったりもできます。
梅干しなら、丸々一個一度に使わなければいけませんが、梅酢だともっと少量だけを使ったりできますので便利ですね。
梅酢を混ぜると味もさっぱりしますし、疲労回復に良いクエン酸が豊富なので、特に夏の時期にはとても重宝します。
私の夏のオススメの使い方は、素麺のつゆにちょっとだけ混ぜるというものです。美味しいですよ。
このように、風味付けとして梅酢を入れると、普段の料理がちょっと高級になった気がします。
梅酢が手に入る人は、ぜひ試してみてください。今は、自分で梅干しを作らなくても、ネットで梅酢が買えるようです。便利な時代ですね。
まとめ
梅雨も明けて晴れた日が続いたので梅干しを干しました。今回も、特に問題なく完成させることが出来ました。材料費は千円、手間も塩漬けの時の30分くらいと、この土用干しの時の三日間だけです。その三日間も実質の労働は一時間くらいのものではないでしょうか。それで、この量の美味しい梅干しと梅酢ができますので、梅干作りは結構割のいいものだと思います。興味のある方は、ぜひ挑戦してみたください。