今日のお昼は蕎麦にしました。先週仕込んだ「かえし」を使った蕎麦つゆの試食が目的です。かえしを仕込んだ時には、これは甘すぎるなと感じていましたが、蕎麦つゆにしてみると、意外や意外、ちょうどよい味の蕎麦屋で出てくるような蕎麦つゆになっていました。麺つゆって簡単に自作できるんですね。
蕎麦屋のつゆで自作の蕎麦を食べたい
蕎麦屋のつゆは、「かえし」と呼ばれる醤油・みりん・砂糖で作ったタレを出汁で割って作ります。
スーパーで売っている麺つゆは、保存性のためどうしても塩辛くなってしまい、蕎麦屋のような味のつゆにすることは難しいと言われています。
蕎麦を打つようになって、美味しい蕎麦は美味しいつゆで食べたくなり、最初は「桃屋 つゆ 特級」という少し高い麺つゆを試したりしました。
これはこれでかなり美味しかったのですが、やはり蕎麦屋のつゆを自作したいと思い、先週、蕎麦つゆ用の「かえし」の仕込みをしました。
その時の様子は、こちらです。
かえしは、仕込んでから一週間くらい冷暗所で寝かせてから使います。仕込んだのが8/3なので、まだ少し早いのですが、試してみたい気持ちを抑えられず、昨日の夜に、このかえしを使って蕎麦つゆを作りました。
自作の「かえし」を使った蕎麦つゆ作り
上の記事で書いていますが、かえしを仕込んだときの味の感覚だと、砂糖醤油の餅くらいの甘さで、これは蕎麦つゆには絶対甘すぎるなと心配していました。
というわけで、まあ甘過ぎたら残っている醤油を足せばよいかと考えながら、昨日の夜、蕎麦つゆの作成に入りました。
蕎麦つゆは、かえしと出汁を1:3の割合で混ぜて作ります。
まだ熱い出汁とかえしを混ぜ、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れて次の日まで寝かせます。したがって、蕎麦を食べたいと思う日の前日に、仕込んでおく必要があります。
かえしは、いったん作っておけば保存がきくので、問題は、出汁をどうするかということになります。
私の場合、一人分100mlの蕎麦つゆを作るのに必要な75mlの出汁があれば良いのですが、よるあるレシピでは、水を1Lくらい使って、大量に出汁をとる方法が主流です。
出汁は、かえしに比べてもちませんし、他の料理で使うあてがあるかというと、今の食生活だとそれほどありません。また、保存した出汁は、香りも落ちてしまうような気もします。
そこで、私は、ごく少量(75ml程度)の出汁を如何に美味しく無駄なく取るかということを、これから追求していこうと思いました。
レンジで少量の出汁を取る
今回試した方法は、レンジを使って少量の出汁をとるという方法です。レンジを使う方法自体は、ネットで結構紹介されている方法です。
簡単なだしの取り方|だしの取り方|鰹節屋のだしのお話|知る・楽しむ|だし・かつお節のヤマキ
それを今回、ごく少量の水でやってみようというわけです。
まず、鰹節の量ですが、大体出汁をとるときの鰹節の量は水1Lに対して40gくらいのようです。これを、75mlに換算すると、大体3gということになります。
注: この時の計算では、水1Lから1Lのだし汁が出来ると思っていたのですが、これが誤解でした。鰹節に吸われる分と蒸発する分でかなり減りますので、本当はそれを考慮する必要があります。
節約ということも考えたいので、今回は、2.5gの鰹節を使うことにしました。
蕎麦つゆにどんな鰹節を使うかということには、色々、議論もあるようですが、今回は適当にスーパーで見つけた「ヤマキ おいしいかつお厚削り だし専用」という鰹節を使いました。
こちらですね。スーパーだと、400円くらいで買えました。
この鰹節2.5gを、蕎麦つゆを入れるそば猪口に砕いて入れます。
そこに水を77ml足し、これにラップを爆発しないように少し隙間を開けてかぶせ、レンジを2分かけました(このそば猪口は、もともと茶碗蒸し用に買ったので、耐熱なのです)。
レンジの中でけっこう沸騰していましたので、ラップは最低限の隙間を除いてしっかりかけた方が良いですね。
レンジをかけ終わった状態がこちらです。
水の色が変わって、だしが出ているのが分かります。
これを茶こしで濾してみると、50mlの出汁がとれました。思っていたよりも、水分のロスが多いです。
仕方ないので、残った鰹節にもう一度水を35ml程足して、レンジにかけました。二回目はほとんど色は出ない感じでしたが、それを足して、75mlのだし汁を確保しました(実際には、80ml以上になりました)。
このだし汁を味見してみたところ、少し味が薄いかなという印象を受けました。
やはり、鰹節の量は、もう少し多くしたほうが良かったかもしれません。
ちなみに、出がらしの鰹節はもったいないので、いただきました。ちょっとボソボソしていますが食べられないことは無いですね。
かえしとだし汁をあわせる
次に、このだし汁とかえしを合わせます。
寝かせて置いたかえしを、試しにそれだけで舐めてみると、意外にも仕込んだ直後に感じた甘さはだいぶ抑えられているようでした。しかし、まだ、蕎麦つゆとしては甘いだろうなという感じでした。
これを先ほどのだし汁と混ぜたものがこちらです。
見た感じ、そば猪口の底が見えて、少し色が薄いかなという感じを受けます。
また、実際に味見をしてみると、確かに、まだすこし甘く、塩味も薄く感じました。
ただ、鰹節の香りはちゃんとしていて、これはこれでかなり美味しい汁と言っていい感じの味にはなっています。
まあ、とりあえずは、このまま蕎麦につけてどうなるか試してみようということで、醤油などは足さず、そのまま行くことにしました。
このようにラップをして、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて、次の日まで、寝かせておきます。
試食
蕎麦は、これまでと同じ蕎麦粉で十割蕎麦を打ちました。
蕎麦の幅があまり一定せず、あまり満足できる出来にはなっていませんが、一応、蕎麦にはなっています。
茹でて、皿に盛って、出来上がりです。
ほとんどが折り目のところで切れてしまったのか、長く繋がった蕎麦が少なく、今一歩の出来でした。
ただ、今日の主役は蕎麦つゆです。
つゆに蕎麦をつけて食べてみます。
「???、あれっ? 美味しい」
昨日の段階よりも甘みが抑えられて、ちゃんとまともな味の蕎麦つゆになっています。
昨日の段階では薄いかなと思っていたカツオの香りも十分感じられます。「桃屋 つゆ 特級」より、カツオの香りは感じられると思いました。
寝かしによるこの甘みと香りの変化は、とても面白いですね。
甘みに関しては最初、温度の違いが原因なのかなと思いましたが、下を見てみると、そうでもないようです。
http://www.nissui.co.jp/academy/taste/01/02.html
まあ、理由は謎ですが、とにかく美味しい蕎麦つゆになりました。
食べ終わって蕎麦湯を足して飲んでみた時の味・香りもいい感じです。
甘さに関しては、かえしを作る時にあとほんの少し砂糖を減らしたあたりが個人的に一番好きな味になりそうです。
ただ、少し薄いというのは確かにあって、私の感覚だと、この蕎麦つゆは、蕎麦を全部汁につけて食べた時にちょうど良い塩辛さですね。
蕎麦を半分くらい付けて食べるには薄いつゆだと感じました。素麺にはちょうど良いでしょうね。
個人的には、蕎麦つゆとしてはもう少し濃い(塩っぱい)方が好みです。
これは、作る時にだし汁の量を減らすか、本当に少しだけ醤油を足すかすれば解消するように思います。
後は、蕎麦打ちの腕をもっと上げられたらいいですね。
それにしても、素人が、レンジを使うなど決して完璧とは言えない方法で作った蕎麦つゆが、こんなにまともに美味しいものになるとは正直思っていませんでした。
確かに、かえしを仕込んだり、出汁をとったりと、少し手間はかかるのですが、実際にやってみると、それほど大変でもありませんでした。
それに、このくらいの手間は、濃縮麺つゆなど無かった昔には、どの家庭でもかけていたんですよね。
私たちの家庭の食は、便利さを求めるあまり、知らず知らずに、貧しいものになってしまったのかもしれないと感じました。
しかし、便利さをもたらした科学技術は食の質を取り戻す方向にも使えます。そして、今、世の中はその段階に入ったのだと思います。
インターネットはその最たるものです。インターネットがなければ、こんなに簡単に自分で蕎麦を打ったり、蕎麦つゆを自作したりすることは出来なかったでしょう。YouTubeに沢山アップされている蕎麦打ちの実演動画は、ここまで蕎麦が作れるようになるのに本当に助けになりました。
また、今回使った鰹節にしても、「氷温熟成」という技術によって、イノシン酸が従来比1.5倍になっているそうです。出汁をとるための鰹節も、影で進化してくれていたのですね。
まとめ
自作の蕎麦つゆで、自分で打った十割蕎麦を食べてみました。当初心配した甘すぎるということは全然なく、とても美味しい蕎麦つゆになっていました。かえしの仕込みも意外と簡単でしたし、出汁もレンジでお手軽に取ったものでそれなりの味になりましたので、蕎麦や素麺が好きな人は、ぜひ一度、麺つゆの自作に挑戦してみてはいかがでしょうか。
あと、今回、レンジを使った簡単な方法でも結構美味しく出汁がとれるということが分かりましたので、他の料理の時にも出汁を活用していきたいなと思っています。