今日のお昼は、蕎麦を打って食べました。前回、加水率を少し下げて作ってみたところ、蕎麦の繋がりが悪くなったので、今回は、逆に加水率をわずかに上げて打ってみました。予想したとおり、つながり具合は上がりましたが、切る時に蕎麦が包丁にまとわりつくようになってしまい、作業性は劣るようでした。味は、いつも通り美味しかったです。
加水率をどうするか
蕎麦を打つ際に悩むのが、加水率(蕎麦粉の重量の何%の水を混ぜるか)をどうするかです。加水率によって打ちやすさや、つながり具合、食感、風味などが変わってくると言われているためです。
加水率は、蕎麦粉の挽き方、銘柄によっても適切な値が異なるため、経験を積んで適切な値を素早く見つけられるようになる必要があります。
それには、まずは同じ粉で、加水率を変えるとどう変化するかを知り、ベストな状態とはどのくらいの固さなのかという感覚をつかむことが重要だと思いました。
というわけで、今使っている石臼挽きの粉では、前々回、前回と、加水率を51%、50%と変化させて十割蕎麦を打ってきたわけですが、50%だと蕎麦のつながり具合が落ちることが分かりましたので、今回は、逆に、加水率をわずかに上げて51.5%としてみることにしました。
(51%で既に柔らかめで、52%は上げすぎだと思ったので、0.5刻みにしてみました)
今日の蕎麦打ち
材料
- 石臼挽き蕎麦粉(信州産)100g
- 水 51.5g (加水率51.5%)
いつものように、水回しをしてまとめた後は、こんな感じです。
0.5%の水の違いですが、51%の時に比べて、明らかにベタつくようになっています。
ただ、不思議な事に、菊練りをしているうちにベタつきはかなり無くなりました。(のし板の表面にごく僅か残っていた小麦粉が影響したのかもしれません。)
菊練りが終わって円盤状にした状態です。
水分量が多いため、のし棒で伸ばすのはスイスイいきました。
上の写真では分かりにくいですが、生地の真ん中辺りが少し薄くなってしまっています。水分が多いと、四つ出しをしたときにこうなることが多いようです。
生地を四つ折りにして、麺きり包丁で切っていきます。
切ってみると、切った蕎麦が包丁にかなりの割合でまとわりついてしまうようでした。こうなってしまうと、作業性はかなり落ちます。もっと上に打ち粉をしておく必要があったかもしれません。
茹で時間は、蕎麦をお湯に投入して再沸騰してから30秒です。
この前買ったキッチンタイマーがあるので、正確に計ることが出来るようになりました。
茹で上がった蕎麦を冷水で締めて、皿に盛って出来上がりです。
試食
蕎麦はかなりつながり具合がよくて長いものが多いです。加水率が50%、51%の時よりも多い感じですね。
想像していた通り、加水率が上がると、蕎麦のつながり具合は良くなるようです。
茹で具合もちょうどよくて、美味しかったです。噛んでみると、蕎麦の風味もそこそこしました。
なかなかよい感じでした。
加水率と作業性と味と包丁
これまでの経験で、大体次のようなことが分かってきました。
- 加水率が高いほど、蕎麦は繋がりやすい。
- 加水率が高過ぎると、切った蕎麦が包丁についてやっかい。
- 加水率が高いと、ツルッ、シャキッとした食感になる?
- 加水率が低いと、蕎麦自体の風味は強めになる?
?をつけたところは、切り方や茹で方にも影響されているかもしれませんので、まだ仮説です。一般的に言われていることとも違うような気もします。
いろいろやってきて、一つ想像するのは、「繋がりやすさ」「作業性」「食感」「風味」をすべて満たすベストの加水率というものは無いのではないか、ということです。
繋がりやすさを第一に考えると、加水率を上げればいいわけですが、そうすると上で書いたように作業性は悪くなりますし、蕎麦の風味は薄くなるといった具合です。
蕎麦打ちの情報を色々見ていると、「刃渡りの長い麺きり包丁がよい」ということがよく書いてあります。私が今使っているものは24cmですが、30cmや33cmを使っているという方も多いです。
これまで、何でそんなに長い包丁が必要なのだろうと思っていましたが、分かってきた気がします。
100gの蕎麦粉で一人分の蕎麦を打つ場合、生地は大体26~28cm角位の大きさまで伸ばされます。私の24cm包丁だと、どうしても一回は折らないと一気に切れないのですね。
一方、30cmの包丁があれば、やろうと思えば、生地を折らずに蕎麦を切ることが可能です。生地を折らなければ、蕎麦が切れる原因もほぼなくなります(やり方を大きく間違えなければ、折り目以外で切れることはほとんどありません)から、風味重視で加水率を下げることもできるようになるのではないでしょうか。
また、もっと粉の量が多い場合で、折りたたまなければいけない時にも、生地の大きさを上手く包丁の倍の長さに出来れば、たとえ折りたたんだ所で蕎麦が切れても、最大で包丁の長さの蕎麦は取れるわけです。
長い麺きり包丁を用意せよというのは、折り目で切れることを気にしない蕎麦作りが出来るというのもあるのかなあという気がしてきました。
ただ、刃渡りが24cm以上になると、とたんに値段が上がるんですよね。
私が今使っているのは、こちらで3000円ちょっとで買ったものです(うわ、私が買った時より安くなっていますね…)。

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刃渡りが27cmになるとこのくらいの値段。

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30cmになるとこのくらい。

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33cmだとこのくらいと、どんどん高くなっていきます。ちょっとしばらくは手が出ないです。

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まあ、蕎麦打ちそのものが定年後のお金のある方の趣味という面も大きいと思いますから、このくらい高いものでも売れちゃったりするのでしょうね。
私の場合は、自給自足、節約のためというのが元にありますので、そんなにお金はかけられません(とはいっても、こね鉢なども合わせると既に8000円以上使ってしまっていますが)。
とこんなことを書きましたが、技術をもっと磨けば、味も妥協せずに折り目でも切れないということが出来るのかもしれませんので、もうしばらくは今の包丁でがんばってみたいと考えています。たとえつながらなくても、既にそこそこ美味しいのですから。
まとめ
加水率の調査として、ごくわずかに加水率を上げて51.5%で十割蕎麦を作ってみました。思った通り、加水率を上げると蕎麦のつながりはよくなるようでしたが、蕎麦が包丁にくっついてしまうようになり作業性は落ちてしまいました。出来上がった蕎麦自体は美味しく、満足でした。一瞬、今持っている包丁に不満を持ってしまいましたが、気を取り直して今の包丁で技術を磨いていきたいと思います。