日本で食べられている蕎麦の生産場所の内訳は、国内産が大体20%で輸入が80%くらいなのだそうです。輸入では、中国産が一番多く80%位で、アメリカ・カナダ産が続きます。しかし、最近モンゴルでも日本の蕎麦が栽培されるようになってきたそうです。今回購入した蕎麦粉は、そんなモンゴル産のソバの実を石臼挽きしたという製品です。国内産の蕎麦粉に比べてとても安いことが魅力です。今日は、この蕎麦粉を使って十割蕎麦を打ってみました。
モンゴル産のソバの実を使った蕎麦粉
輸入のソバの実は、これまでほとんどが中国からのものだったのですが、最近、モンゴルで日本の蕎麦を栽培する試みが行われているそうです。
例えば、元横綱の朝青竜さんが地元モンゴルで日本蕎麦の取り組んでいるというこんな記事を見つけることができました。
モンゴルは、ルチンが豊富に含まれているということで一時期話題になった「韃靼ソバ」が栽培されている地域として有名ですね。標高が高く、もともと蕎麦の栽培には適しているのだと思います。
最近高騰しがちな蕎麦粉ですが、モンゴルで安全で美味しいソバが安定的に生産されるとなると、日本にとっても嬉しいことではないでしょうか。もちろん、節約生活を目指している私にとっても、注目したい動きです。
今回購入したのは、前回まで使っていた蕎麦粉と同じ会社で売っているモンゴル産のソバの実を石臼挽きしたという蕎麦粉です(「モンゴル産の蕎麦粉」と書くと、製粉までモンゴルでやったのかという誤解も生まれそうですが、この記事では「モンゴル産の蕎麦粉」と表記したいと思います)。
国産のソバの実を使った蕎麦粉がキロあたり1600~2000円位するところ、このモンゴル産の蕎麦粉なら、キロあたり1000円以下とかなり安くなっています。
では、早速、今日の蕎麦打ちの様子をレポートしてみます。新しい粉になったので、少し詳しく書いてみます。
今日の蕎麦打ちの様子(モンゴル産の蕎麦粉を使って)
材料
- 石臼挽き蕎麦粉(モンゴル産)100g
- 水 51g (加水率51%。最終的に50.8%くらい)
水の量は、前回の蕎麦粉で上手く行っていたのが51%付近なので、51%から始めてみることにしました。
蕎麦粉をこね鉢に入れて、真ん中に水を流し込む窪みを作ります。
蕎麦粉の香りは、これまで使っていた国産のものと比べて少し弱く、香りの雰囲気もかなり異なりましたが、個人的にはけっこう好きな感じの香りです。
ここに、用意した水の80%くらいを一気に入れて、指を立てた手で一気にかき混ぜます。かき混ぜたら、ダマを崩すような感じで、粉を手でほぐしていきます。
下は、そうやっていって蕎麦粉全体が満遍なくしっとりした状態です。
ここから、残りの水を少しずつ入れていって、蕎麦粉が自然とまとまってくるのを待ちます。
だんだん、こんな感じでまとまり始めます。
さらにに行くと、一つにまとまります。水は、一滴くらいを残して全部使いましたので、最終的な加水率は50.8%くらいでしょうか。
これをこね鉢の中で少し練ってから、のし板の上で、生地中の空気を抜いて表面をなめらかにするための「菊練り」という作業をします(本当は、こね鉢の中で菊練りまですることが多いようです)。
練り始めの時は少し生地が柔らかいかなと思いましたが、練っているうちにかなり固めになってくるのが分かりました。
蕎麦粉には、練っているうちに水を吸うものと、水を吐き出すものの二種類があるそうですが、この粉は水を吸うタイプなのかもしれませんね(もう少し水が多くても良いのかも)。
菊練りが終わったら、最後に生地のシワを消すために、シワが頂点となるような円錐形に形を整えます。
この円錐形の頂点を上から潰して、円盤状にしたら、のしに入る準備は完了です。
生地に星(黒い殻)が多少入っていますね。
のし板の上に打ち粉をして、円盤を置き、その上にも打ち粉を軽くしたら、手のひらのつけ根あたりを使って円盤を押して広げていきます。
たまに角度を変えて、均等に広がるようにします。
ある程度広がったら、今度は麺棒で伸ばしていきます。
これも、たまに角度を変えながら均等に広がるようにします。
今日はそこそこきれいな円なりました。
次に、この円形を四辺形に変形させる「四つ出し(または、角出し)」という作業を行います。
のし棒に生地がつかないように、打ち粉をこのようにしておきます。
そして、生地を下から麺棒に巻きつけていきます。
巻きつけたら、生地の真ん中辺りに手を添えて、生地の真ん中を伸ばす気持ちで回転させます。
ある程度やったら、生地を90度回転させて、広げます。そして、同じようにまた打ち粉を打って同じことをします。ちなみに、90度回転させるのではなく、180度回転させて反対側をやると教えている場合もあります。私は、どちらのやり方が良いのかまだ決めかねています。
これを4つの角についてそれぞれ行います。
そうして、最後に45度回転させて広げると四角形になっているはず…なのですが、これがなかなかうまくいかないのですよね。
四つ出しが終わったら、今度は厚みの不均一を正す「肉分け」という作業を行います。
四つ出しで伸ばされなかった所(上の写真だと打ち粉のバッテンの後のない所)が厚くなっているので、伸ばします。
私の経験では、この肉分けの時に上手くやると、四角形が多少綺麗になるようです。
多少ゆがんではいますが、四つ出し直後よりは、四角くなっているのではないでしょうか。
ここまで来たら、まず縦方向に十分伸ばしていきます。最終的にはこの長さが出来上がる最長の蕎麦の長さになります。
蕎麦粉100gで打つ場合、26~28cmくらいにすることになると思います。私が使っているのし板は奥行きが30cm位なのでギリギリです。
縦に伸ばしたら、生地を90度回転させて、最後の伸しを行います。
この時の伸しの方向が、蕎麦の方向と垂直になるようにします(麺棒の方向が蕎麦の方向)。こうすると、蕎麦が切れにくくなるそうです。
伸しが終わったら、生地を畳みます。
まず、生地の下半分に打ち粉をして、上半分を重ねます。
ここの折り目は、しっかり付けてしまいます。
次に左半分に打ち粉を少し多めにします。特に中央部分はクッションのために多めに打ちます。
そして、生地の右半分を上に重ねます。
ここの折り目は、蕎麦になった時につながっていて欲しいので、そのままにしておきます。
これを、90度時計回りに回転させて、打ち粉を良く打ったまな板に置き、上にも打ち粉を良く打ちます。
これを、駒板を当てながら、麺きり包丁で切っていきます。
「切りべら23本」といって一寸(約3cm)を23本に切るのが江戸の蕎麦の標準だそうですが、なかなかそのくらい細く安定して切るのは私にはまだなかなかできません。
ちなみに、このとき蕎麦の幅は1.3mm程度になります。「切りべら」というのは、切った面の方が長いという意味で、この時の生地の厚さは1.4~1.5mm。麺は長方形の断面になります。
今日は、こんな感じに切り上がりました。
多少表面にヒビのようなものが見えている所がありました。やはり水が足りなかったのかもしれません。
茹で時間は、いつものように蕎麦を入れて再沸騰してから30秒としました。
たっぷりのお湯を沸騰させて用意しておきます。私の場合は、蕎麦の伸しを始める前にお湯を沸かし始めると時間的にちょうどよいようです。
茹で上がった蕎麦は、ザルに取り、ボウルに貯めておいた水道水(浄水)で優しく洗い冷やすとともにヌメリを取ります。これだけでは、まだ熱いので、もう一回別のボウルで洗い、最後に、冷やしておいた水をかけて締めます。
締めた蕎麦は水を切り(ザルの下を手で叩くとよい)、皿に盛りつけます。盛り付けるときには、全部一気に盛るのではなく、手である程度の量をつまみ上げて数回に分けて盛っていきます。この方が蕎麦が食べやすくなるそうです。
盛った時の感触だと、長い蕎麦の割合は前の粉での十割蕎麦で一番良かった時に比べると、少なめでした。やはり水が少なかったのかもしれません。
以上、これが私が今やっている蕎麦の打ち方です。ネット上の様々な情報を私なりに総合し、私の家の環境を考慮してこんな感じになっていますが、これが絶対に正しいという保証はありませんので、参考程度に考えてください。
試食
こんな感じにできました。
アップでみてみるとこんな感じです。
早速食べてみましょうか。
いただきます。
美味しいです。
ただ、香りはあまりしませんでした。蕎麦粉の時はそこそこ香りがしていたのですが、どうしたのでしょうか。
食感は、そこそこ満足できるものでしたが、多少もったりしているかなとも感じました。
もちろん、価格が倍もする国産の蕎麦粉と同じ美味しさとは初めから思ってはいませんでしたが、私がまだこの粉に慣れていないのが一番の原因なような気がします(が、国産に比べて香りが弱めということは確かかもしれません)。
これから、この粉に対する加水率や打ち方などの最適値を探っていきたいと思っています。
蕎麦打ちは、蕎麦粉、打ち、茹で全てが揃わないと、なかなか会心の出来にはなりませんね。それだけに、会心の出来になった時の喜びは大きいものがあります。
蕎麦打ちの良さは、会心の出来ではなくてもそこそこ美味しく、会心の出来はとても美味しい(そしてなかなか出来ない)ところにあるのではないでしょうか。まあ、これは、どんな料理にも言えることかもしれませんが。
まとめ
モンゴル産の蕎麦粉を買ってみたので、それで十割そばを打ってみました。そこそこ美味しい蕎麦にはなりましたが、会心の出来とはなりませんでした。もう少しこの粉の研究をしていきたいと思っています。