煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

【読書】青木雄二著『ナニワ金融道 ゼニのカラクリがわかるマルクス経済学』: マルクス経済学は今でも学ぶ価値があるのか


本書は、ナニワ金融道の作者の青木雄二さんが書いたマルクス経済学の入門書です。Kindle Unlimitedの対象になっていて、ちょっと面白そうだったので読んでみました。

ナニワ金融道 ゼニのカラクリがわかるマルクス経済学 impress QuickBooks

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私の子供の頃はまだソ連が存在していて東西冷戦もあり、子供心に、なんとなくマルクスの思想や社会主義・共産主義は「怖い」というイメージが植え付けられていました。

その後、ソ連が崩壊して、社会主義国が失敗に終わったという世間のイメージが作られました。そのため、大人になってからも、マルクスの思想は調べたり勉強する価値がないものとして、あまり興味を持つこともなく、今まで来てしまったように思います。

この本は、漫画『ナニワ金融道』の作者の青木雄二さんが書いた、マルクス経済学の入門書です。

青木さんは、漫画家になる前、色々経済的に苦労する中でマルクス経済学に出会い、その思想を『ナニワ金融道』に込めて書いたのだそうです。

そして、『ナニワ金融道で』は、例え資本家や裕福な労働者の地位にいる者でも、ちょっとしたきっかけで貧乏のどん底に落ちてしまうということがいくらでもある、「お金は怖い」という事実を描きたかったのだそうです。

本書の主張は、今現在でもマルクス経済学は学ぶ価値のあるものだということです。

本書で繰り返し出てくるマルクス経済学の中心的な考えは、資本主義社会においては、労働者は資本家に程度の差はあれ搾取されているということです。

私も、資本主義においては、資本家による労働者の搾取は多かれ少なかれ今でもあるように思います。ただ、先進国では、全体が裕福になり、搾取されていたとしてもそこそこの生活ができるという状況にあります。日本では、いくら貧乏でも栄養失調で死ぬということはもう殆ど無いでしょう。

面白いのは、社会主義国は失敗してしまいましたが、マルクスが主張していたことのいくつかは、皮肉にも、資本主義国の中で実現してるということです。

これは、ちょっと前に読んだ↓の記事でも書いてあったことですね。

www.economist.com

労働組合を作り労働者の待遇を改善したり、一般庶民の暮らしを良くしようという圧力は、資本主義国の中で共産主義に影響された人達によってなされてきたという意味で、マルクス経済学は無駄ではなかったのでしょう。

これは、共産主義社会の成立には、民主主義が土台としてあったほうがやりやすいということが関係しているようです。社会主義国の失敗は、土台としての民主主義の欠如にあったのではないかという考え方です。

しかし、このように一見上手く行っているような先進資本主義国の成功は、資本家が国内の労働者からではなく、国外の発展途上国の労働者から搾取した「おこぼれ」を国内の労働者が貰っているからそう感じるのかもしれないということも忘れてはいけないことではないでしょうか。

ただ、この構造は、いつになるかは分かりませんが最終的には、発展途上国も裕福になって、行き詰まりをみせるでしょう。

労働者は絶対的には裕福になりながらも、相対的には資本家との格差が広がり続けているというのは、少し前に話題になったトマ・ピケティの『21世紀の資本』が示したことです(私は読んでいませんが…)。

21世紀の資本

21世紀の資本

この流れがさらに進んでいった場合、どんな社会になるのかは興味のあるところです。

まとめ

Kindle Unlimitedで、青木雄二著『ナニワ金融道 ゼニのカラクリがわかるマルクス経済学』を読んでみました。マルクス経済学について、もう少し勉強してみたくなりましたし、共産主義でもなく、資本主義でもないような、次に来る新しい社会の方向性に関する思想についても、そういうものがあるのかも含めて調べてみたくなりました。

ここらあたりから読んでみようかな。

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

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