煩悩退散!

シンプルライフを目指しています。なのに煩悩(物欲・食欲・承認欲 etc.)は尽きません。そんな煩悩をここで吐き出して成仏させようとする試み。

【今日の生パスタ】日本とイタリアの小麦粉の違い:「00粉」を使って生パスタを作る


f:id:skktmlab:20161003180659j:plain 今週のお昼は生パスタからはじめました。今回、本場イタリアでよく使われるという「00粉」という小麦粉を使って生パスタを作ってみることにしました。

イタリアの小麦粉事情

いつも参考にしている『まいにち食べたい手打ち生パスタ』によると、イタリアの小麦粉の分類は、日本のものとはちょっと違うそうです。

日本だと、小麦粉は、そのタンパク質の含有量で、強力粉、中力粉、薄力粉という分け方をします。

種類 タンパク質の量 (%)  
強力粉 12%以上
中力粉 9%前後
薄力粉 8.5% 以下

また、灰分含量によって、特級(0.3~0.4%)、一等(0.4%前後)、二等(0.5%前後)、三等(0.8%前後)、末粉(1.5~2.0%)に分類されるそうです。ミネラル分が少ないほど、上級とされているわけですね。普段私たちがスーパーで買うことが出来るのは、一等粉です。

小麦粉 - Wikipedia

一方、イタリアでは、小麦粉は、精白度(これは日本の灰分含量に相当)によって、00番、0番、1番、2番、という分類されます。生パスタ作りでよく使うのは、一番精白度の高い00番の小麦粉(00粉)です。

注意点としては、00番と言っても、日本の強力粉〜薄力粉のどれとタンパク質含有量が近いのかは、各小麦粉メーカが使用している小麦によって変わってくるということです。

また、生パスタ作りでは、硬質小麦のデュラム小麦を粗挽きにしたデュラム・セモリナ粉が使われることがあります。この小麦粉は、タンパク質の含有量が14%と強力粉よりも更に大きくなっています。

生パスタ作りでは、種類によって、00粉だけ、デュラム・セモリナ粉だけ、両方を混ぜたりと、様々なバリエーションがあり、また、水だけで練るか、卵で練るか、両方で練るかといったバリエーションもあります。

ただ、それ程厳密なものではなく、同じパスタでも、地方地方で配合が変わったりしますし、シェフによっても違ったりしますので、自分の好きなようにやれば良いのだと思っています。

「00粉」を使ってみる

これまで、私が生パスタを作る時は、種類にかぎらず日清の「自家製パスタ用小麦粉」というデュラム小麦粉を使い、その時の気分で全粒粉を少し混ぜるという配合でやることがほとんどでした。

「自家製パスタ用小麦粉」がそこそこお手頃な値段で、美味しい生パスタが出来るように思ったからなのですが、最近↓の新しい本を買ったりして、もう少し小麦粉にも凝ってみたくなったんですね。

プロのためのパスタ事典

プロのためのパスタ事典

そこで、イタリアの00粉を購入して、生パスタを作ってみることにしたわけです。

購入したのは、カプート社の「カプート サッコロッソ ピッツァイオーロ」という00番の粉です。ピザを作るのに最適な粉だそうですが、北部では、パスタ作りにも使われるという小麦粉です。

カプート サッコロッソ ピッツァイオーロ (イタリア産小麦粉) 1kg

カプート サッコロッソ ピッツァイオーロ (イタリア産小麦粉) 1kg

小麦粉にしてはかなり高価ですが、思い切って購入してみました(まあ、蕎麦粉よりは安いです)。

カプート社は、イタリアでも定評のあるメーカーらしく、『まいにち食べたい…』でも挙げられていましたし、上の『プロのためのパスタ事典』でも、著者のシェフが使用する粉としてカプート社のものを挙げています。他には、ディ・チェコ社(乾麺パスタでも有名ですね)、マリーノ社、モリーニ社などが挙げられていました。

これを買ってから気づいたのですが、同じカプート社でも、「コンフェツィオーネ」か「パスタ・フレスカ&ニョッキ」の方が良かったのかなとも思ったり。

「パスタ・フレスカ&ニョッキ」はタンパク質含有量が、11.5%と少し抑えめのようです。

ちなみにGoogle翻訳によりますと、コンフェツィオーネ(confezione)=砂糖菓子、パスタ・フレスカ(pasta fresca)=生パスタという意味らしいです。

さて、購入して届いたのが、こちら。「TIPO "00"」と書いてあり、00粉という意味でしょう。 f:id:skktmlab:20161003180949j:plain

ただ、よく見ると、名前が違う。あれ、違うのが来ている!と思いましたが f:id:skktmlab:20161003181000j:plain ということらしい。

今は、「カプート ファリーナ クオーコ(Caputo Farina Cuoco)」という名称だそうです。

farina = 小麦粉、cuoco = コックだそうす。「コックさんの小麦粉」という意味でしょうか。

こんな記述もありました。 f:id:skktmlab:20161003191833j:plain

輸送中に漏れる可能性があるパッケージって日本の場合はあまりないですね。

実際、袋を開けようとしたら、小麦粉が折り目のところ(袋の外)に結構溜まっていて、バッとこぼれました。輸送中にこぼれたと言うよりは、工場で袋に入れる時に、外にこぼれたものをそのまま織り込んでしまった感じ?まあ、よく分かりませんが、漏れるというのは確かなようです。

まあ、私は中の粉が無事ならあまり気にしませんが、気になる人は気になるでしょうね。

タンパク質の量は、13g/100g(= 13%)と記載がありましたので、日本の分類で言ったら強力粉ですね。

では、早速この粉を使って、生パスタを作ってみましょう。

今日作るのは、私の好きな手延べ生パスタのピーチ(Pici)です。

これまでは、ピチと書いてきましたが、今日は『パスタ事典』の方を参考にして、ピーチと書くことにします。

今日の生パスタ作りの様子

材料

  • 00番小麦粉 「カプート クオーコ(旧サッコロッソ ピッツァイオーロ)」100g
  • 塩1g
  • オリーブオイル3g
  • 水 40g(加水率40%)

水の量は、『パスタ事典』の西口シェフのピーチ(p81, p83)を参考にしています。

これまでの私の常識からすると超低加水です

私は、これまでの経験から生パスタ作りは加水率50%~54%位がやりやすいかなと感じていましたので、こんなに水が少なくて、美味しく出来るのか、とても興味が沸いたのでそのまま従ってみることにしました。もしかしたら、デュラム粉と00粉ではだいぶ最適な水の量が違うのかもしれませんしね。

こね

粉の色は真っ白というわけでもないですね。なんとなくですが、粉の粒子の大きさは日本の小麦粉の方が小さいように感じます。 f:id:skktmlab:20161003181041j:plain

水に塩とオリーブオイルを良く混ぜて、少しずつ小麦粉に混ぜていきます。

全て入れたら、まとめて、のし板の方でこねていきます。 f:id:skktmlab:20161003181158j:plain

いつもの「日清自家製パスタ用小麦粉」が黄色で綺麗なのに比べて、こちらの粉は少し灰色でくすんだ感じです。

また、かなりボソボソしています

5分程こねましたが、なかなかまとまりません。途中少し手を湿らせて、水分を足しましたが、それでも、こんな感じです。 f:id:skktmlab:20161003181206j:plain

とりあえず進めることにして、ボウルを逆さにしてかぶせ、15分ほど寝かせました。

表は、そこそこしっとりしましたが f:id:skktmlab:20161003181220j:plain

裏は、寝かせる前のままで、くっついてくれてはいませんでした。寝かすと、水分が出て、くっつくことが多いのですが、さすがに水が少なすぎるかもしれません。

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とりあえず、このままやってみます。

成形

適量を指でちぎり、指で、太さ3mm~5mmに伸ばしていきます。生地が固くてなかなか伸ばしにくく、5mm~7mmくらいになってしまいました。

生地が滑るので、頻繁に指を湿らせて伸ばす必要がありました。

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ここで、ちょっと思ったのは、プロが生パスタを作る場合って、木の安いのし板ではなく、大理石の台とかでよくやっているじゃないですか?

木ののし板だと、こねている時や成形している時に、結構水分が吸われて乾燥するんですよね。そこら辺が、成形のしにくさにつながっているような気がしてきました。

前に少し書きましたが、↓のような(人口)大理石ののし板の購入も考えてみても良いかもしれませんね。

安田木工所 製パン・製菓ボード(人工大理石製)

安田木工所 製パン・製菓ボード(人工大理石製)

茹で

茹で時間は、『バスタ事典』では、8分となっていました。『まいにち食べたい…』では、4分でしたから、ずいぶんと違いますね。

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今回は、『パスタ事典』通り8分としました。

茹でると、かなり膨らんで、太さが1cm以上あるんじゃないかというくらいになりました。

ソースと和える

今日のソースは、野菜ジュースで作ったミートソースに、家庭菜園で採れたナスを入れたものです。

『パスタ事典』では、生パスタはソースに入れてから長い時間煮て味を含ませるという考え方には、否定的なようです。

適切な固さに準備したソースに、茹でたパスタを入れ、素早く和えるというのを推奨しています。

ここらへんは、『まいにち』の見解とは少し違っていて、面白いですね。どちらが良いのか、自分で試してみるしかありませんね。今日は、『パスタ事典』に従ってみることにしました。

なお、和えるソースの固さは、食べた後にソースが皿に残らないくらいを良しとするそうです。これを、「パスタシュッタ(pastasciutta)=乾燥したパスタ」というのだそうです。

というわけで、今日はいつもより、ソースを硬めに、和え時間も短めにしてみました。

出来上がり

出来上がりました。「00粉のピーチ 自家製ナスのミートソース」です。 f:id:skktmlab:20161003182543j:plain

なかなか美味しそうです。

麺が太く、かなりのボリューム感があります。おそらくは、もう少し細く作った方が良かったのでしょうね…

早速食べてみます。

8分ゆでましたが結構固めで、長いショートパスタを食べているという感覚です。

パスタの表面はツルッとしていて、噛むとモチっとしていて、美味しいです。食べごたえがかなりありますね。

ただ、気持ちもう少し長く茹でた方が良かったかなと思いました。というのも、少し細めになっている所の食感が、抜群に美味しかったからです。

これまでも、ピーチは、横着して太めに作ってしまうことが多かったのですが、その時よりも美味しさは上なような気がしました。

これは、粉の差かもしれませんね。

またソースも美味しかったです。ナスは皮も柔らかくとろっとしていました。やはり、秋ナスは美味しいですね。

ソースは皿に少し残ってしまったので、もう少しだけ硬めに仕上げた方が良かったかもしれません。

今回、新たに購入した『プロのためのパスタ事典』を参考にしてみて、生パスタの奥深さを改めて感じました。それにしても、この本は、自分の店ではこうしているというノウハウを各シェフが惜しげもなく公開されていて、資料としてとても価値のある本だと思います。ありがたいことです。

まとめ

イタリアで生パスタ作りに使われているという00番の小麦粉を使って、手延べパスタ「ピーチ」を作ってみました。ソースに入れた自家製のナスも美味しく、とてもボリューム感のある、美味しいパスタが出来ました。新しく購入した『プロのためのパスタ事典』の情報も参考にして、これからも生パスタの腕を磨いていきたいと思いました。