もうずいぶん前に、パンチェッタを自作したいということを書きました。今回、それを実行してみましたので、その様子をレポートしてみたいと思います。
パンチェッタとは
パンチェッタ(Pancetta)とは、豚バラ肉を塩漬けして熟成・乾燥させたもので、カルボナーラやアマトリチャーナなどのパスタを作るときの材料として欠かせないイタリアの食材です。
今回、パンチェッタをなぜ作るのかですが、最近、下のように色々生パスタを作るようになって、少しソースにも凝りたいなと思っているんですね。
日本ではベーコンで代用されることも多いパンチェッタですが、本格的なパスタを作るなら、是非使ってみたいですよね。
しかし、このパンチェッタ購入すると結構高いです。
そこで、自作は出来ないものかと調べてみましたら、自分で作っているという方が結構いるということが分かりました。
なんでも「ピチットシート」という脱水シートを使うと、比較的かんたん・安全に作れるらしいのです。
ピチットシートは、32枚入りで2000円ちょっとで買うことができます(本記事執筆時)。

オカモト 業務用ピチット レギュラー 32R(32枚ロール)
- メディア: ホーム&キッチン
自分で作れば、まあ失敗(と多少の食中毒)のリスクはありますが、かなりお安く作れるはずです。
早速やってみよう!と思ったのですが、なかなか手を付けることができていませんでした。
何か新しいことに挑戦するというのは、それが小さいことでも精神的な障壁を大きいものですね。
しかし、上の記事を書いた頃よりずいぶんと生パスタ作りもうまくなってきたと思いますし、そろそろ挑戦しても良い頃合いかなと思い、「ピチット」を購入して、パンチェッタ作りに挑戦することにしました。
では、早速、初めてのパンチェッタ作りの様子を御覧ください。
注意: パンチェッタは肉を長期間熟成させるものですので、この記事を読んで自分でも試してみようという方は、消毒等を良くして衛生管理には十分気をつけて自己責任で行って下さい。
パンチェッタ作りの様子
今回参考にしたのは、こちらのレシピです。
材料
- 豚バラ肉 540g
- 塩 39g
- ローリエ2枚
- ローズマリー少し
- 胡椒
豚バラ肉は、輸入のもので540円でした。
塩は、500gあたり大さじ2です。大さじ18gで計算すると、540gの場合39gとなります。
塩分濃度としては、7.2%となりますね。結構、高めです。
1日目(塩漬け)
豚バラ肉に塩をよくすり込み、ぴっちりとラップをします。
結構な塩の量です。
ラップで包むとこんな感じです。
これを冷蔵庫にいれて、一日置いて塩漬けします。
と、ここまで準備したところで、他のレシピも見てみたりしたところ、塩分濃度がレシピによってかなり差があることを知りました。
低いものでは、塩分濃度3%くらいでやっているものもあるようです。逆に、作ったパンチェッタが塩辛くて困ったといっているページもありました。
そんな情報を見ていたら、今回の7.2%という塩分濃度は高すぎだったのでは?という不安が襲ってきました。
しかし、まあ、塩辛かったら最悪塩抜きして使えばよいかなと思い、そのまま進めることにしました。
2日目(ピチットシートでくるむ)
ラップを剥がし、出てきているドリップをキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
そして、胡椒、ローズマリー、ローリエと一緒に、肉をピチットシートでくるみます。
ピチットシートは、こんなパッケージに入っていました。
ピチットシートは、水分や嫌な匂いは通すが肉の旨味などは通さないという特殊なシートで出来ていて、シートの中には、水分を保持するための物質が入っているようです。
中は、こんな感じ。
ロール状になっていて、一枚分の所に切れ目が入っています。その切れ目のところで自分て切ってシートとして取り出します。
こんな感じに、ピチットシート、ハーブ、肉、ハーブという順番に置きます。
一日塩漬けして、肉の色が鮮やかな赤色に変わった気がしますね。
ちなみに、ローズマリーは、パンチェッタ作りを考えた時に苗を買ってきて植えておいたものが、葉っぱを使えるくらいに育ってきたのでそれを使いました。
ピチットシートを肉にピッタリ巻きつけ、輪ゴムで縛ります。
これで、2週間くらい冷蔵庫の中で乾燥・熟成させます。
その間、シートに水がたまったら適宜ピチットシートを交換します。
参考にしたレシピでは、一回目の交換は翌日にすることになっています。
3日目(ピチットシート交換)
一日経ちました。そんなに大量には水は脱水されていないようでした。
色が少しすくんだような気もしますね。
全く関係ないですが、下はこの日の夜食べた「パン・コン・トマテ」というスペインの料理です。焼いたフランスパンに、おろしたトマト・オリーブオイル・ニンニクを混ぜたものを塗りつけてもう一度焼きます。この日は、節酒生活で唯一お酒が飲める土曜日だったので、このパンをつまみとしてワインを飲んだのでした。結構美味しいですよ。生ハムを乗せて食べたりしても美味しいです。
6日目(ピチットシート交換)
さて、2回目のピチットシートの交換は、6日目に行いました。
ずいぶんと水が抜けて、固くなった印象です。
12日目(出来上がり)
まだ、二週間は経っていませんが、我慢ができなくなったので、12日目で完了として試食してみました。
なかなか二週間待つのは大変ですね。
最後、シートに結構水が溜まっていました。
出来上がりはこんな感じです。
何か問題がありそうな匂いはしません。上手く行ったようです。
出来上がりは、484gになっていました。
540 - 484 = 56gの水が脱水されたわけですね。
これを、16等分すると30gずつになります。パスタの一食分くらいの量になります。
1/4はそのまま塊で冷蔵庫で熟成を続け、残りの3/4は30gずつラップに包んで冷凍保存することにしました。
早速、ちょっと試食してみます。
切ってみました。
肉の色は生ハムみたいで美味しそうですね。
パンチェッタは普通加熱して食べます。生で食べたという報告もネットで見かけましたが、食中毒の心配もあるのでまずは焼いて食べてみます。
焼いてみたら、普通の豚肉を焼いたみたいになりました。それにしても、脂身が多いですね。
食べてみます。
お、けっこう美味しいですね。
が、とても塩っぱいです。
ギリギリ食べられないこともないですが、食べたらワインでもガブガブ飲みたい感じです。
これだけ塩っぱければ、腐造の心配は無さそうです。
かなり塩っぱいので、これ自体を塩の代わりとして料理を作る感じでしょうね。
スープの具のような用途だと、ちょうどよいのかもしれません。パスタの具とした場合はどうでしょうか。やってみないと分かりませんね。
また、肉の熟成感はまだそれ程感じませんでした。
もちろん、多少肉が柔らかく、弾力が出たようにも思います。
もうちょっと熟成期間が必要なのかもしれません。
ちなみに、パンチェッタは熟成が進むと酸味などが出てくるそうです。私はサラミのような熟成の酸味が好きなので、そこまで熟成できれば嬉しいですね。
(と言っても、私はパンチェッタの正解の味がどういうものかは知らないのですが)
初めてにしては上手く行ったような気がしますが、個人的には、もうちょっと塩分抑えめが好きなので、次に作る時には塩の量を減らしたいですね。
また、パンチェッタでは無くなりますが、脂身の少ない部位で作ってみるのも良いかもしれません。
次は、いよいよここで作ったパンチェッタを使って、カルボナーラなどのパスタを作っていきたいと思っています。
自作パンチェッタのコストについて
最後に、このパンチェッタを作るのにかかったコストについて簡単に計算してみます。
- 豚バラ肉 540円
- ピチットシート3枚 70円 x 3枚 = 210円
塩、ハーブ類はゼロ円として、計750円です。
これで、484gのパンチェッタが出来ましたから、1.55円/gです。
パスタ1食にパンチェッタを30g使うとして、1食分46円ですね。
まあまあリーズナブルなコストで作れたのではないでしょうか?
まとめ
パンチェッタの自作に初挑戦したので、その様子をレポートしてみました。少し塩辛いなど、問題点もありましたが、初めてにしては、よく出来たのではないでしょうか。こんどは、出来上がったパンチェッタを使って、カルボナーラやアマトリチャーナなどのパスタを作っていきたいと思います。
完成したパンチェッタでカルボナーラを作りました。その時の様子はこちら。なかなか美味しかったです。