昨日、前々からやってみたいと思っていた「パン焼き」に挑戦してみました。作ったのは、フランスパンのバゲット(の小さいやつ)です。あの長細い棒のような形をした外側が固いパンですね。私の一番好きなパンです。家にターンテーブル型の貧弱なオーブンレンジしかないというハンデもありましたが、やってみると、意外にも結構美味しいバゲットを作ることができましたので、少し詳しくレポートしてみたいと思います。何かの参考になれば幸いです。
ちゃんとした棒状のバゲットを作りたい
パンを焼くって憧れませんか?
パン屋さんのあの香ばしい匂い、大好きです。
実は、私の家にはホームベーカリー(HB)があって、ここ4年ほど朝食用のパンはこれで量産していて、パン焼きの楽しさは既にある程度は経験済みです。
小麦粉は安いので、自分でパンを作るとかなりの節約にもなりますね。
家でHBで作るのは、大体はフランスパンの配合で作ったパンです。フランスパンが元々大好きというのもありますが、フランスパンはバターや砂糖が入らないので、材料の用意も楽ですしカロリーも抑えめだからです。
しかし、不満があるとすれば、HBでできるパンは何を作っても食パンのような形で、あのバゲットの棒のような形にはなりませんし、皮のカリッとした感じや、香ばしさがあまり味わえないことでした。
という訳で、HBに頼らずに棒状のバゲットを自作してみたいということをずっと思っていて、最近その気持がだんだん大きくなってきて、こんな記事を書いたりしていました。
少し時間が経ってしまいましたが、昨日日曜の時間を利用して、いよいよこれに挑戦してみましたので、その様子をレポートしてみたいと思います。
バゲットの作り方
今回参考にしたのは、主に、上の記事で紹介した『「エスプリ・ド・ビゴ」藤森二郎のおいしい理由。パンのきほん、完全レシピ』です。

「エスプリ・ド・ビゴ」藤森二郎のおいしい理由。パンのきほん、完全レシピ (一流シェフのお料理レッスン)
- 作者: 藤森二郎
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 単行本
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それと、ネットの様々なページも参考にしました。
cookpad.com https://cookpad.com/recipe/1326689cookpad.com
家には、ターンテーブル型の小さなオーブンレンジしかない(角皿もついていない)という制約があり、そこは自分の環境にあわせて工夫していく必要がありました。この記事では、そこらへんも書いていきたいと思います。
ちなみに、家にあるのは、パナソニックのNE-MZ15という15Lサイズの小型のオーブンレンジです。ターンテーブルの有効直径は25cm程度しかありません。オーブンの最高温度は230度です。庫内に角皿を置くための突起のようなものはあるのですが、買った時には角皿は付いていませんでした。
作るもの
ターンテーブルの大きさに合わせて、次のパンを作ることにしました。
- ミニバゲット 25cm x 1
- ミニミニバゲット 12cm x 2
本のレシピから、必要な生地の重さを推定すると
- ミニバゲット 25cm = 131g
- ミニミニバゲット 12cm = 63g
というわけで、生地は合計257g必要になります。
工程計画
パンは生パスタなどとは違ってかなり生地の加水率が高い状態で作ることが本を読んで分かりました。
生パスタの場合には、加水率は50%前後ですが、バゲットの場合は67%程度です。つまり、かなりベトベトした生地で、扱いがかなり面倒なことが予想されました。
そこで、いきなり手捏ねで全部やるのではなく、面倒なこねから一次発酵まではホームベーカリーにやってもらって、その後の成形・二次発酵・焼きなどを自分でやってみるという計画とました(後で述べますが、実際は途中から少し変更になります)。何事も現状を足場にして段階的にやっていくのが良いという考えですね。
家にあるHBは、パナソニックのSD-BMS104です。今売っているのだと、このくらいのものですね。

パナソニック ホームベーカリー 1斤タイプ ブラウン SD-BMT1001-T
- 出版社/メーカー: パナソニック(Panasonic)
- 発売日: 2015/11/01
- メディア: ホーム&キッチン
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ちなみに、本によるとバゲット作りの工程は、以下のようになります。
- こね
- 一次発酵前半(1時間30分)
- パンチ
- 一次発酵後半(1時間)
- 分割
- ベンチタイム(20分)
- 成形
- 最終発酵(1時間)
- 焼成 250度で30分
トータルで、5時間程の長丁場となります。
今回は、1~4のこねと一次発酵をHBの「生地モード」で1時間でやってしまうという計画です(これは実際には変更されることになります)。
材料
必要な生地の量から逆算した材料は以下の通りです。
- フランスパン用小麦粉(パイオニア企画 リスドオル)151g
- 水 101.3g
- 塩 3g
- ドライイースト 1g
本のレシピでは「モルトシロップ」というものが使われていますが、省略しました。これは、酵母の発酵を促進するために入れるもののようです。
こちらが購入したリスドォルです。800gで450円くらい。
ちなみに、「リスドォル」というのは商品名ではなく小麦粉の種類の名前のようで、数社から販売されているようです。小麦粉の種別としては、準強力粉となります。
下の記事などをみると、商品名が一般名詞になりかけている例でしょうか。
パンに欠かせない材料とその役割|ドンクについて|ドンク - DONQ -
元々は、日本で手に入る小麦粉で美味しいフランスパンが焼けるように日清製粉が開発した小麦粉の商品名のようです。ちなみに、今回購入したのはパイオニア企画という会社のものです。

- 出版社/メーカー: パイオニア企画
- メディア: 食品&飲料
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また、今回、バゲットを焼くにあたって新たに購入したのが、生地を切り分けるための「スケッパー」と、オーブンの中に水蒸気を入れるための「霧吹き」です。どちらもダイソーの100均で買ってきました。
スクレーパーなのかスケッパーなのかはっきりして欲しいですね。
スケッパーがなければ、たぶん包丁でも良いのだと思いますが、一度使ってみたかったので、購入してみました。
霧吹きはこんな感じのガーデニングコーナーに置いてあったものです。
では、早速作っていきましょう。
こね&一次発酵(1時間)
水に塩を溶かしたものを粉に入れ、ドライイーストをイースト投入口にセットして、HBの生地モードをスタートします。
一時間経って完了した状態がこちら。
思ったよりも膨らんでいません。
本によると、一次発酵完了の目安としては、生地に指を突っ込んてみて穴がそのまま残っていたらOKだそうです。
やってみると、こんな感じで、全然穴が残りません。
この結果から、HBの生地モードでは発酵が十分では無いと判断しました(後から分かったのですが、指に「手粉をつけて」差し込まなければ、どちらにしても生地がくっついてこうなります)。
計画を変更して、「パンチ」の工程から本にしたがってやっていくことにしました。
パンチ
台(のし板)に出して生地を叩きます。これには、気泡をある適度抜くという意味があるそうです。
叩いたら、上面を包み込むように生地をくるりと巻き、丸く整えます。
と書きましたが、生地がのし板にくっついてこれが上手く行きません。
後から分かったのですが、生地を出す前に、台に打ち粉を良くしておかないと駄目なようです。
パンの生地はかなりベトベトしているので、打ち粉・手粉の使い方がカギになると分かりました。
一次発酵後半(1時間)
一次発酵の後半は、発酵器「ヨーグルティア」で行うことにしました。
30℃で1時間、追加発酵させます。
ヨーグルティアは、25℃から65℃までとかなり幅広い温度設定ができるので、ヨーグルト作り以外にも色々使えて便利ですよ。
私もヨーグルト、納豆、麹、チーズ作りにと使い倒しています。
最新の機種は70℃までいけるようですね。低温調理のための機能強化のようです。

TANICA 温度調節(25?70℃) ・タイマー・ブザー付ヨーグルトメーカー ヨーグルティアS 1200ml YS-01 (ブルー)
- 出版社/メーカー: タニカ電器(TANICA)
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後から分かりましたが、オーブンレンジの方にも40℃の発酵モードがあるということが分かりました。ただし、これだと温度が少し高すぎるかもしれませんね。
発酵させて一時間経った状態がこちら。
酵母の発酵で気泡が出て、そこそこ膨らみました。
指に手粉を付けて差し込んでみました。
穴はそこそこ維持されていますので、発酵はいい感じかもしれません。
分割&ベンチタイム
のし板に打ち粉をして、そこに生地を取り出します。
折りたたんで、軽くガスを抜き、枕型に整えます。
これを、各パンに必要な量にスケッパーを使って切り分けます。今回ですと、1/2, 1/4, 1/4の三つに分けます。
こんな感じですね。
切り分けた生地は、20分ほど休ませます。これを「ベンチタイム」と言うそうです。
乾燥しないように、上にもクッキングシートをかぶせておきました。
成形
寝かせた生地を棒状に成形していきます。
本によると、私の理解が正しければ、
- 奥側1/3程度をめくり上げて手前に折って畳んで手で叩いてくっつける
- もう一回、同じことをする。
- 最後に、奥側1/2程度をめくり上げて手前に折る。合せ目は内側に押し込む。
- 棒状に伸ばす
という方法で成形していきます。
なかなかこの通りにはなりませんでしたが、なんとか棒状に成形しました。
成形した生地は、ターンテーブルの上にクッキングシートを敷き、その上に置いていきます。
このとき、シートを山折にしてひだを作り、生地を支えるようにします。そのためのパンマットという道具もあるようですが、私はクッキングシートを利用してやってみることにしました。
この段階でターンテーブルの上に置く必要はありませんが、生地の大きさに問題がないか分かりやすいし、この後の工程もやりやすいと思います。
最終発酵(1時間)
先ほどの状態で、1時間ほど放置して最終発酵を行います。
1時間経った状態がこちら。発酵が進んで少し膨らんでいることが分かりますね。
発酵の香りが少し漂ってきます。
焼成
クッキングシートのひだを広げて、ターンテーブルの形に切ります。
ターンテーブルに直接生地を置いても良いのかよく分からなかったので、今回はクッキングシートを敷いて焼くことにしました。
本では、焼きは、250℃で30分となっています。
このクッキングシートの耐熱が230℃ 20分だったのと、オーブンレンジの最高温度が230℃だったので、今回は230℃で20分焼いてみることにしました。
まず、オーブンレンジを230℃で予熱しておきます。
予熱が完了する頃に、クープのための切り込みを入れます。クープというのは、フランスパンの表面にある模様ですね。
カミソリなどを使うと良いそうですが、なかったので包丁で切り込みを入れました。本では、縦に一本入れていますが、私は斜めに3本入れてみました。
フランスパンは、焼いた時にクープがパカっと綺麗に開いたら成功といえるそうです。
予熱が完了したら、生地の載ったターンテーブルを入れ、庫内に霧吹きで切りを10回ほど吹き付け、ドアを締めて2分程放置します。
庫内に水蒸気を充満させるためです。これは、皮をカリッとさせクープを綺麗に開かせるために必要なことだそうです。
本では、熱湯を入れたバットをオーブンの下段に入れておいて焼くという方法が紹介されていますが、私のオーブンレンジにはそんな場所はありませんので、上の方法を使いました。
霧吹きを吹いて放置するという使う方法は、ネットで見たどこかのページに載っていた方法なのですが、元のページがどれか分からなくなってしまいました。見つけたら、ここにリンクを張りたいと思います。
2分放置したら、230℃で20分焼いていくのですが、ここで問題が発生しました。
オーブンレンジのオーブン機能を使うのが(たぶん)初めてだったので、予熱後に本焼きに移る方法が分からなくで手間取ってしまったのです。
後で調べて分かったのですが、予熱が終わったところで時間ボタンを使って時間を設定し、スタートボタンというのが正解だったようです。
どうもうまくいかないので、試しに「取り消し」ボタンを押してみると、また予熱モードになってしまいました。しかも、今度は温度が200℃までしか設定できません。
これも後で調べて分かったのですが、庫内が120℃以上になっているとオーブンは200℃までしか設定できないようです。
何でしょうこの謎仕様は。230℃まで耐えられるんじゃないの?と少し腹が立ちましたが、仕方がないので、200℃の予熱モードで焼いていくことにしました。
焼き上がり
時間が経つにつれてパンがだんだん焼けて茶色になっていき、香ばしい香りが部屋に漂ってきました。
20分では焼きが足りなそうだったので、最終的には25分程焼きました。クッキングシートの耐熱が少し心配でしたが、200℃と予定よりも少し低温だったので、大丈夫だったようです。
こんな感じに焼きあがりました!
意外とそれっぽくなっていると思いませんか?
クープの開きは、恐らくこれでは合格では無いんでしょうね。パン屋さんのバゲットはもっとパカッと開いていますよね。
パンの裏側は、白いままでした。火は通っていますが、もっと茶色にならないと美味しそうではありませんね。
午後3時に始めて、焼き上がりが午後7時。トータルで4時間の作業となりました。待ち時間がほとんどですが、まあ少し面倒ではありますね。
試食
粗熱が取れてから、早速試食してみました。
一番大きいミニバゲットを切ってみると、こんな感じになっていました。気泡もちゃんと入っていてパンらしいですね。
ただ、フランスパンとしては気泡が小さいかもしれませんね。
食べてみます。
うん。美味しいです!
皮(これを「クラスト」と言うらしいです)はカリッとしていて、香ばしい香りがします。
中(これをクラムと言うらしいです)は、温度が低く膨らみが少なかったためか、市販のフランスパンよりも詰まっていてモチッとした食感です。個人的には、この食感も結構好きですね。
塩気は少し強めで、そのまま何も付けずに食べて美味しい感じです。毎日食べるパンにするには、もう少し塩が少ない方が良いかもしれません。
いろいろ文句を付ける所はあるかもしれませんが、十分美味しいバゲットと言えますね。
明らかに、いつもHBで作っている食パンのような形のフランスパンより美味しいです。
焼き立ての香ばしさに関しては、店の焼いてから時間の経ったバゲットを上回っているかもしれません。
残ったバゲットは、冷凍して保存して朝食で食べたいと思います。こんなパンを毎朝食べられたらQOLが結構上がりそうです。
コストについて
今回、初めてのバゲット挑戦だったので、本のレシピに従って少し高価なリスドオルを購入しました。今回の粉代は、計算してみると85円くらいになります。
85円でこのくらいの美味しいバゲットが作れるならば結構良いと思います。使った小麦粉の量からすると、1.5食分といったところでしょうか。朝食だと食べる量が少ないので、多分3~4食分くらいですね。
リスドオルではなく、強力粉+薄力粉(これはHBのフランスパンのレシピで使われている配合です)で作れば、もっと安くできると思います。
今回自分でやってみて分かりましたが、パン作りは手間も技術も結構必要で、パン屋さんで大きなバゲットが300円もしないで買えるのはとてもありがたいことだなと思いました。
今後の方針
今回初挑戦にしては美味しいバゲットが焼けたと思いますが、いろいろ改善点・やってみたいことがあります。
- オーブンレンジを正しく使って230℃で焼く
- ターンテーブルに直接生地を置いて焼いたらどうなるか(底面がもっとしっかり焼ける?)
- クープき切れ込みをカミソリで入れてみたらどうなるか
また、 一度に焼く量を増やしたいですね。パンを焼くのには結構時間がかかりますので、一度に出来るのが小さいパン3つだとちょっと効率が悪いです(もう少し大きく出来たような気もしますが)。
やっぱり、こんな感じの大きめのオーブンレンジが欲しくなりますね。

シャープ 過熱水蒸気オーブンレンジ 2段調理 31L レッド RE-SS10B-R
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- メディア: ホーム&キッチン
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このシャープのなんか、2段でパンが焼けて良さそうです。パン焼きに適しているというレビューもあります。
まあ、今のターンテーブルの面積を最大限利用とするとすると、丸い形の「ブール」とか「パン・ド・カンパーニュ」とを焼くのが良いのかもしれませんね。でもバゲットが一番好きなんですよね。
後できるとすれば、家のオーブンレンジには角皿を置くための突起はあるようなので、そこに合いそうな角皿を買って、より大きなパンを焼けるようにするということでしょうか。
後、気になるのが、こちらの本ですね。

少しのイーストでゆっくり発酵パン?こんな方法があったんだ。おいしさ再発見!
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今回パン焼きをやってみて、その難しさ、奥深さを感じることができたような気がします。生パスタ作りや蕎麦打ちと並んでハマりそうな予感です。
まとめ
バゲットの自作に挑戦してみました。意外にも、初挑戦で結構美味しいバゲットを焼くことができて、満足でした。この嬉しさを伝えたくて、かなり長い記事になってしまいました(8890文字を超えていますね。けっこう疲れました)。ただし、手間と美味しさのバランスを取ってこのパン焼きを持続可能な習慣とするには、もう少し工夫が必要かなと思っています。