今日のお昼は蕎麦を打ちました。去年一食分だけ残しておいた「高山製粉 白樺」を使っての十割蕎麦です。それを、冷凍してあった自家栽培の辛味大根を薬味に食べました。やはり、白樺のツルッとして弾力のある食感は素晴らしいですね。ここ数日、タイトルに挙げた「男はなぜ蕎麦打ちにはまるのか」というトピックがネットで話題になっていたので、蕎麦打ちをする身として、私が蕎麦打ちをするようになった理由などを書いてみたいと思います。
なぜ男は蕎麦打ちにハマるのか?
Toggetterの下のまとめ『男性は一定の年齢になるとなぜ「蕎麦打ち」にはまってしまうのか?「男性は蕎麦打ち、女性はパン焼きのイメージ」』が、ここ数日話題になっています。
去年から蕎麦打ちにハマり始めた私としては、どんなことが書かれているのか気になったので、読んでみました。そして、それぞれの方の分析はどれも一理あるなと思いました。
私の場合、生パスタも作りますし、蕎麦も打ちますし、最近ではパンを焼いたり、コンベクションオーブンを買ってオーブン料理も始めています。カレー作りにも興味が出始めていて、上の記事で書かれているすべての病気に一気に罹患してしまっている感じですね(実は、釣りも数年前はかなりやっていました)。
というわけで、下のような意見もありますが、男は蕎麦打ちだけにハマるというのは私の場合は当てはまりません。料理一般にハマっているというのが正しいかもしれません。
前に団塊の世代の知人男性が手打ち蕎麦をご馳走してくれて、でもつゆは市販のものだったので、心の中で「力を入れるのはそこじゃないのでは…」とちょっと思いました。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2017年1月4日
ゆるゆると紡がれる日常の家庭料理と、蕎麦道は別物ということなのでしょう。だから蕎麦打つ中高年男性は、料理(や、ちゃんとつくったそばつゆ)には興味がなかったりする理由も納得がいく。
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2017年1月4日
最初は私も市販の麺つゆを使っていましたが、いつしか蕎麦つゆも自作するようになりましたね(その方が美味しいので)。
打った蕎麦は自分はもちろん、家族も美味しいと言ってくれる位のものは作るようになりましたので、はた迷惑な蕎麦打ちではないと思っています(ちなみに、自分で満足の出来る蕎麦になるまでは、家族には食べさせてはいません)。記憶に新しい所では、昨年の大晦日に自作した年越しそばも好評でした。
まあ、蕎麦打ちは、オススメですよ。興味のある方は、定年を待つということはせずに、すぐにでもやってみるのがいいのではと個人的には思います。
私のおすすめは、道具を揃える前に、とにかく蕎麦粉をスーパーかどこかで買ってきて、蕎麦粉をこねて、伸ばして切ってみるということですね。当然最初から上手くはいきませんが、生パスタくらい作れるのならば、下のようにそこそこ食べられる蕎麦は出来るかもしれません。
そこから、いろいろネットの動画などを見たりして、工夫したり道具を揃えていくのが良いと思います。まあ、この位ハマるのがわかっていれば、最初からセットで道具を揃えてしまった方が安くて簡単だったとは思うのですが。
あと、いきなり蕎麦切りにしないで、「そばがき」を作ってみるというのも、蕎麦粉に慣れるという意味で良いかもしれません。蕎麦がきなら、蕎麦粉を熱湯で練るだけで簡単にできますが、日本酒のとてもよいアテになります。
私が蕎麦打ちにハマるまでの過程を振り返ってみる
私が蕎麦打ちにハマるまでの過程は、うろ覚えのところがありますが、以下のようなものだったと思います。個人的なことですが、一例として挙げてみるのも分析の何かの足しになるかもしれません。
- 仕事が辛くて自給自足的な生活に憧れる(~30代なかば)
- 日本酒やワインにハマる(料理、発酵に興味を持つ)
- 家庭菜園を始め、野菜の自作にハマる
- 梅干しやザワークラウトなどの漬物の自作を始める
- ヨーグルティアを使って、ヨーグルトや納豆の自作を始める
- 料理も作るようになる
- 経済的理由により節約を余儀なくされる
- お昼を安く作れるパスタにするようになる
- 生パスタ作りを始める
- うどんやフォーの自作をする
- 蕎麦打ちを始める
- パン焼きを始める
- オーブン料理やカレー作りに興味を持つ(今ここ)
色々なものが絡み合っているのですが、根底にあるのは、多分、自給自足生活への憧れと節約、そして節約しながらも美味しいものを食べたいという欲なんだと思います。
個人的な事を言うと、30代半ばになったころ、仕事がだんだん辛くなってきたんですね。そして、ストレスフルな仕事をして稼いだお金が、そのストレスを発散するための外食だとか酒だとか、どうでも良い買い物に使われているのに気づいて、一体自分はなんのために働いているんだろうと思うようになったんですね。
美味しいものが食べたいのなら、そんなストレスフルな仕事を経由しないで、直接自分で作れば良いのではないかと思ったわけです。自給自足生活への憧れがここで生まれました。
自分が生きていくだけの食べ物は自給して、自由になった時間は知的探求に使いたい。それが自分の中で理想の生き方になりました(まあ、あくまで理想で、なかなかそうもいかないのですが)。まさに、晴耕雨読の生き方です。
そこから、家庭菜園を始めて野菜を自作したり、梅干しを自作したり、ヨーグルトや納豆、麹、チーズを自作したりと、ダイレクトに自分の欲しいものを自作するということを少しずつ始めました。
こんなことをしているうちに、自作というものがとても楽しいということに気づいてきましたし、自分でも出来るんだという自信もついてきました。また、同時に、自作が節約にもなるということも実感として分かってきました。
自分で技を身につけて自作すれば、外食したり、購入したりするのに比べて、ものによっては格段に安くできますし、味が良いことさえあります。
今考えると、仕事のストレスを忘れるためにハマった日本酒やワインとの関連で勉強した発酵が、初期の自作生活の大きな割合を占めていたのは、不幸中の幸いと言うか、面白いところです。発酵を利用したものは、実は、基本的には乳酸菌とか納豆が仕事をしてくれるので、温度管理さえ間違えなければ、簡単な部類の自作なんですね。
また、日本酒やワインを飲むようになって、一緒に食べる料理自体にも興味が出てきていたという下地が出来上がっていたというのも、面白いです。また、ストレスを発散するための外食で、美味しい料理をいろいろ知ったということも事実です(蕎麦は学生の頃から好きだったんですが)。
その後、なんだかんだして、上のストレスフルな仕事は辞めたのですが、そうすると自由な時間は増えたがカネがないという状況が生まれました。
そこで、普段の料理もだんだん自炊するようになり、お昼は、元々大好きでしかも安く自炊できるパスタを食べるようになりました。
それが、生パスタ作りにつながり、生パスタを自作するようになると、麺を自分で自作できるんだという自信につながりました。そこから、うどんも自作しましたし、変わった所だと、フォーの麺を自作したりもしました。そして、遂に、蕎麦打ちにも手を出すということになったわけです。
そして、麺を作るために小麦粉をこねた経験が、パンも作ってみるかということにつながりました。そして、パンを焼くようになると、今度は、オーブン料理一般に興味が出てきました。
基本的には、自分が好きな料理を自分で美味しく作りたいというスタンスです。そうすれば、外食費がかなり浮きますからね。お金が減っても、クオリティ・オブ・ライフを減らしたくないという、まあ、言ってみれば「欲」ですね。
そして、全ては、つながっているんですね。これができれば、あれも出来るというように。多分、全く料理の経験がないのに、定年後に蕎麦打ちを始めてもすぐには美味しい蕎麦はできないのではないでしょうか。それが、上のまとめでも言われているハタ迷惑な蕎麦打ちというものになっているのではないかと思います。
確かに、蕎麦打ちは生パスタ作りに比べて難しく感じます。つまり、極めるという楽しさがあるわけですね。一方で、蕎麦はつゆさえあれば料理として成立するというシンプルさ、簡単さもあります。つゆの自作も、かえしさえ予め作っておけば、簡単です。パスタは麺は簡単だが、ソースが少し面倒、蕎麦は麺は面倒だが、食べ方は簡単ということですね。片付けるときも、蕎麦は器に油がつくわけではないので、楽です。そういう所が、男が蕎麦打ちが好きになる理由の一つではあると思います。
男がある一定の年齢になると蕎麦打ちにハマるわけ
以上が私の蕎麦打ちに至るまでの過程ですが、ここから少し一般化して、なぜ男はある一定の年齢になると蕎麦打ちにハマるのかということを自分なりにまとめてみると、次のようなことになるのではないでしょうか。
- 蕎麦打ちの根底には、自給自足への憧れがある
- 自給自足は、農耕や狩りの本能をくすぐるものである
- 昔は、それが男の仕事だった
- 仕事に意義を見いだせない人・仕事がなくなった人は、仕事の代わりとして、本能として自給自足や自作をしたくなる
- ある一定の年齢にならないと、蕎麦打ちが出来るだけの料理の基礎スキルが身についていない
- ある一定の年齢にならないと、美味しい蕎麦を知らないので、そもそも作ろうと思わない
- 蕎麦打ちは、ある程度の難易度があるのでやりがいがある(つまり習得した時の効果も大きい)
- 一方で、つゆさえ用意すれば料理として成立するというシンプルさもある
今日の蕎麦打ち
さて、男が蕎麦打ちにハマる理由はこれくらいにして、ここからは、今年初めての蕎麦打ちの様子をレポートしてみたいと思います。
半年ほどの「修行」で到達した私の蕎麦打ちを御覧ください(注意: 私の今のやり方が正しいとは限りません)。
材料
- 石臼挽き蕎麦粉127g(高山製粉「白樺」2016年・長野県産)【蕎麦粉ID: 8】
- 水 66.3g (加水率52%)
最後、粉の量が127gありましたので、普段よりも少し多くなっています。
水回し
いつものように、80%-10%-10%法で行いました。
ふるいにかけてこね鉢に入れた蕎麦粉の真ん中に窪みを作り、そこに水の80%を注ぎます。
水の上に粉をかぶせます。
水が漏れ始めたら、指を立てた手で、一気かきまぜます。
生地のダマと粉をぶつけるように手の平で、もみほぐしていきます(練らない)。
このように、湿ったおからのようになるまで、それを行います。
残りの水を少しずつ入れて、混ぜていきます。
水を全部入れたあたりで、生地に圧力をかけていくと、生地がだんだんと玉になってきます。
一つの玉にまとめます。
練り
転がし練りを6回行います。転がし練りは私が勝手に言っている用語で、一般的な蕎麦打ちにはないかもしれませんが、こんな感じで行う練りです。
生地を手の平で押しながら転がして棒状に伸ばします。
これをくるくると巻き取ります。
向きを90度変えて、同じことを行います。
これを計6回行います。
最後に丸くまとめます。
このあと、菊練りを行います。回数は、今回は50回としました。
ヘソが頂点になるように、円錐形に成形します。
これを、上から手の平で潰して円盤状にします。
いつもは、ここで生地の準備は終わりですが、今回は、少し違ったことをしてみました。
伸ばした時に、生地が横長になるように、最初から少し横長の四角に成形してから伸ばすというものです。
白樺で作った蕎麦は切れやすいので、たとえ蕎麦を切る時に生地の折り目で蕎麦が切れたとしても、長い蕎麦が取れるようにするためです。
延し
まずは、手である程度伸ばします。
そのあと、麺棒で伸ばします。
いつもなら、円形に伸ばしてから四つ出しをしていきますが、今回は、こんな感じで、1辺が長い生地にいきなりしていきます。
最終形はこんな感じ。ちょっと歪んだ形になってしまいましたが、まあ良いでしょう。
畳み&切り
打ち粉をしながら、生地を4つ折りにします。
こんな感じになりました。
縦が20cmと、いつもより長く生地を作ることが出来ました。たとえ折り目で蕎麦が切れてしまっても、20cmの蕎麦にはなることになります。
切った結果は、こんな感じ。なかなかいい感じです。
切った蕎麦のアップです。
やはり、折り目の所はヒビが結構入っていますね。
茹で
茹で時間は、60秒としました。いつものように、水で何回か洗い、冷凍庫で冷やしておいた冷水で締めて、器に盛れば出来上がりです。
食べる
こんな感じで出来ました。
器に盛る時から、分かりましたが、なかなか長い蕎麦が揃っていました。
蕎麦のアップはこんな感じです。
ちょっとエッジが汚い蕎麦もありますが、細さはなかなか良いと思います。
薬味は、昨年収穫して冷凍保存しておいた辛味大根にしました。
さっそく食べてみましょう。
うん!美味い!
白樺で作った蕎麦らしい、ツルッとして弾力のある食感です。
辛味大根の辛味もそこそこあり、美味しいです。
いやー美味しかったです。
ちなみに、今日の材料代はつゆの材料代と蕎麦粉代で250円といったところ。
美味しい十割蕎麦がこの値段で出来ると思ったら、蕎麦打ちを習得したくなりませんか?
ちょっと凝った蕎麦屋だと、十割蕎麦がほんのちょっとの量で1000円とか1500円とかしますからね。
それを考えたら、二皿分2000円の十割蕎麦が250円で出来たとも言えなくもありません。
もちろん、蕎麦屋の蕎麦には味やその他で及ばないことも多いですが、私としては結構満足な出来ではあります。
今日の蕎麦のまとめ
諸元
項目 | |
---|---|
種別: | 十割蕎麦 |
蕎麦粉: | 高山製粉「白樺」 127g |
つなぎ: | - |
加水率: | 52% |
水回し: | 80-10%-10%法 |
こね: | 転がしこね6回 |
菊練り: | 50回 |
麺帯幅: | 12.5cm |
切り回数: | 96回 [目標94回] |
平均蕎麦幅: | 1.29mm [目標1.32mm] |
茹で時間: | 80秒 |
総評
評価項目 | 点数 |
---|---|
食感: | ★★★★☆☆ |
香り: | ★★☆☆☆☆ |
つながり: | ★★★★☆ |
太さ: | ★★★★☆☆(平均1.29mm [目標1.32m]) |
まとめ
残っていた「高山製粉 白樺」を使って、今年最初の蕎麦打ちをしました。白樺らしいツルッとして弾力のある蕎麦で、美味しかったです。また、男はある一定の年齢になると何故蕎麦打ちにハマるのかについて、自分の経験を踏まえて考察してみました。

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