前々から欲しいと思っていた高橋邦弘さんの『高橋邦弘の蕎麦大全』を手に入れました。高橋邦弘さんは、有名な蕎麦打ちの達人です。テレビでも紹介されたことがあるのでご存じの方も多いのではないでしょうか。その高橋名人が自身の蕎麦打ちについて惜しげもなく記したのが本書です。この本を読んで、ひさしぶりに二八蕎麦を作りましたので、レポートしてみたいと思います。

- 作者: 高橋邦弘
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2004/10/14
- メディア: 単行本
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蕎麦打ち名人 高橋邦弘さん
高橋邦弘さんは、蕎麦好きならおそらく多くの人が知っている蕎麦打ちの名人です。
これまた有名な手打ちそばの達人、片倉康雄さんの一茶庵で修行をした後、「翁」「達磨」という蕎麦の名店を作ってきた方です。
私も、昔テレビで高橋名人の蕎麦打ちを紹介していた番組を見た時は、凄いなあ、一度食べてみたいなあと思ったのを思い出します。
まだ、私が蕎麦打ちにハマる随分前のことですね。
本書は、その高橋名人が、自身の蕎麦打ちについて詳しく書き記したものです。
アマゾンで蕎麦打ちの教科書を探していると、高橋名人の著書やDVDが多くヒットします。私も、蕎麦打ちを始めてから、いつかは高橋名人の著書かDVDを手に入れて見てみたいと思っていました。
ただ、あくまでも私の蕎麦打ちはコスパを重視していますので、これまで購入は控えてきました。お金をかけないでも、蕎麦打ち上達のために出来ることがあるだろうというわけです。
しかし、ここ最近、ある程度(といってもまだまだですが)の蕎麦は打てるようになり、そして上達が頭打ちになったなと感じてきたところで、どうにも知識欲が抑えられなくなってしまいました。
というわけで、ついに高橋邦弘著『高橋邦弘の蕎麦大全』を購入しました。

- 出版社/メーカー: 北海道特産品 吉粋(きっすい)
- メディア: DVD
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DVDにもあるのかもしれませんが、それは是非知りたいというのが購入の一番の動機です。
また、二八蕎麦と十割蕎麦両方の打ち方が書かれているとあったのも、決め手の一つでした。十割蕎麦の打ち方まで紹介しているものはなかなか無いように思うので、良さそうだなと思いました。
『高橋邦弘の蕎麦大全』を読んでみた感想
- 蕎麦の基本的な知識が過不足無く簡潔に述べられている。
だいたいどんな本でも書いてあることだとは思いますが、明快に分かりやすく書いてあるので、蕎麦打ち初心者にはありがたいのではないでしょうか。
- 蕎麦粉の自家製粉の方法についてかなり詳しく書かれている。
これは、高橋名人が自家製粉をしているからなのですが、蕎麦打ち初心者には実際のところあまり関係のない情報ではあります。
自家製粉というのはなかなか大変なものなのですね。個人的には、自家製粉は下の記事で以前書いたように自給自足という観点から元々興味があったので、とても興味深く読むことが出来ました。
- 二八蕎麦、十割蕎麦の打ち方の解説が写真付きで詳しく載っている。
ただし、十割蕎麦のところは二八蕎麦との差異が分かりにくく、十割蕎麦ならではのテクニックを期待していた私としては、少し肩透かしでした。もう少し対比が分かりやすくなっていると嬉しかったです。
あと、生地の厚さや切り幅を具体的にどのくらいにしているのかは書かれていませんでした。そこも参考にしたいと思っていたので少し残念でした。
写真と文章だけでは細かい動きは分からないので、そこはやはりDVDの方に軍配が上がるのではないかと思います(見ていないのでDVDがどのくらい詳しいのかはわかりませんが)。
また、本書では1kgの粉で打つ場合が紹介されていますので、私が普段やっている一人分100g~120gでの少量打ちでは、大まかには真似できると思いますが、細かい所はそのまま真似することは出来なそうです。
- 変わりそば(さらしなそば、茶そば、柚子切り)の作り方が詳しく紹介されている。
さらしな粉で作る変わりそばの作り方です。さらしな粉で作る場合は、湯ごねをする必要があります。多分あまり作ることはないでしょうが、一度は作ってみたいですね。
- つゆの作り方が、材料の銘柄・分量まで詳しく書かれている
これは本書の購入の一番の動機だったので、嬉しかったです。これは、おいおい真似してみたいと思いました。
- 種物、つまり温かいそば(淡雪そば、あさりそば、鴨南そば、卵とじ)の簡単な作り方が紹介されている
私は冷たい蕎麦の方が好きなので、ここの紹介が簡単なのはあま良いと思いましたが、色々と知らない蕎麦が紹介されていたので、ちょっと食べてみたくなりました。
後は、蕎麦とお酒の関係が簡単に述べられ、最後に高橋名人の蕎麦打ちのこだわりをまとめた節で本書は終わります。最後の「最も大切にしたいのは、自分自身が生涯そばを楽しむということだといいきる」の言葉を読み、私も、生涯ずっと蕎麦打ちを楽しめればいいなと思いました。
二八蕎麦を打ちたくなった
そば好きには、二八蕎麦派、十割蕎麦派と色々あると思いますが、高橋名人は、二八蕎麦が好きだとのことです。まずは二八蕎麦を完璧に打てるようになることが先決だとのこと。
私の場合、どちらが良いかけっこう揺れ動いています。お蕎麦屋さんでちゃんと打たれたものを食べる分には、蕎麦粉の風味が強く感じられる十割蕎麦の方が好きです。一方、自分で打つとなると、小麦粉のつなぎを入れた方が無難に繋がったバランスの良い蕎麦ができるので、それも捨てがたいと思っています。
自分で打つ時は、だいたい十割蕎麦か、外二蕎麦(蕎麦粉10に対して小麦粉2なので、二八蕎麦よりも蕎麦粉の割合が少しだけ高い)に挑戦してきました。
しかし、本書を読んで、もう一度しっかり二八蕎麦を練習してみようという気分になりました。
というわけで、今日のお昼は、二八蕎麦を打って食べました。
後半は、今日の私の蕎麦打ちの様子をご覧ください。
今日の蕎麦打ち
材料
二八蕎麦:
- 石臼挽き蕎麦粉106g(高山製粉「霧ヶ峰」2016年・長野県産)【蕎麦粉ID: 10】
- つなぎ用準強力粉 26.5g
- 水 61.0g (加水率46%)
高山製粉の「霧ヶ峰」は今日が最後です。500gの袋だとすぐに終わってしまいますね。もう少しこの粉の様子を探りたかったです。
最後だったので端数が出ましたが、蕎麦粉が100gの時に二八蕎麦にするには、25gの小麦粉を足せば良いです。
水回し
いつものように80%-10%-10%法で行いました。
こね
こねは、転がしこねを6回です。
菊練り
菊練りは、60回行いました。
最後、円錐形の生地を上から潰して生地の出来上がりです。
伸し
切り
麺帯は横13cm、縦16cmでした。
切り回数は、92回。蕎麦の平均幅は、1.40mmでした。
切りはまだ安定しません。やはり私は切りが苦手ですね。
茹で
茹で時間は、60秒としました。
食べる
こんな感じで出来ました。
なかなか美味しそうです。
この前収穫してきた自家栽培の辛味大根をおろして薬味にしてみました。もうスが入っているかと思いましたが、意外に大丈夫でした。
蕎麦のアップはこんな感じ。
やはり、蕎麦の太さのバラつきは気になりますね。あとエッジも少し荒れている気がします。
さて、食べてみます。
おおお!
これは上手いですね。蕎麦の固さがちょうどよかったです。
これまでこの蕎麦粉で感じてきた蕎麦の水っぽさが全くありません。
この霧ヶ峰で打った蕎麦の中では一番の出来になりました。
ちなみに、今日の蕎麦つゆは、鰹節に加えて昆布も使って作ってみました。『蕎麦大全』を読んで、ちょっと試してみたくなったためです。ちなみに、高橋名人は、干し椎茸も入れるそうです。これもいつか真似してみたいです。
鰹節だけのものに比べて、昆布のおかげでつゆの味がまろやかになった気がします。
こんな感じで、いつもの鰹節3gに加えて、1cm x 4cm くらいの昆布の小片を入れて、そこへ熱湯を注いで出汁を作りました。
昆布の量はごく少量なので、コスト的には、無視できる程度だと思います。
二八なので、こんな感じの結構長い蕎麦もありますね。
辛味大根を入れて食べてみます。
うまい!
今日は大根の頭の方をおろしたので、甘みが強いですね。それでも、辛味大根独特の鮮烈な辛味はちゃんと感じられて、とても美味しいです。
いやー、なかなか満足できる味でした。
二八蕎麦も良いですね。
これからは二八蕎麦もちゃんと練習していきたいと思いました。
やっぱり、私の場合、切りを安定させるのが最重要課題ですね。
今日の蕎麦のまとめ
諸元
項目 | |
---|---|
種別: | 二八蕎麦 |
蕎麦粉: | 高山製粉「霧ヶ峰」 106g |
つなぎ: | 準強力粉 26.5g |
加水率: | 46% |
水回し: | 80-10%-10%法 |
こね: | 転がしこね6回 |
菊練り: | 60回 |
麺帯幅: | 13cm |
切り回数: | 92回 |
平均蕎麦幅: | 1.40mm [目標1.32mm] |
茹で時間: | 60秒 |
総評
評価項目 | 点数 |
---|---|
食感: | ★★★★★☆ |
香り: | ★★★☆☆☆ |
つながり: | ★★★★☆☆ |
太さ: | ★★★☆☆☆(平均1.40mm [目標1.32m]) |
まとめ
高橋邦弘さんの『高橋邦弘の蕎麦大全』を読んだ感想と、今日の蕎麦打ち(二八蕎麦)の様子を書いてみました。今日打った二八蕎麦は、高山製粉の「霧ヶ峰」で打った蕎麦の中で最高の出来でした。これからは、二八蕎麦もちゃんと作っていきたいと思い直しました。