宮崎康平『まぼろしの邪馬台国』を読んでから、邪馬台国についての興味が改めて湧いてきました。そこで、次に買って読んでみたのが、こちらの大塚初重著『邪馬台国をとらえなおす』です。

- 作者: 大塚初重
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2017/01/20
- メディア: Kindle版
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この『邪馬台国をとらえなおす』は、邪馬台国があったとされる3世紀頃の日本がどのような社会だったのかということを、考古学的な発掘で得られた知見から、俯瞰したような本です。
日本各地で発掘された、土器、青銅器、鉄器、鏡などから今現在(とはいっても2012年の段階)どのようなことが考古学的に分かっているのか、また、分かっていないのかが、かなり詳しく書いてあり、とても勉強になりました。
ただ、専門用語が多く、その説明があまりなされていない部分もあり、読むのはかなり大変でした。ちゃんと理解するには、考古学の発掘とはそもそもどのような作業で、どのような理論の元に行われているのかという、考古学の基礎が分かっている必要があるように感じました。
そこら辺の、考古学の教科書的な本を読んでみたくなりました。
ちなみに、著者は、纏向遺跡の規模、土器などから分かる全国規模の人の交流などを考えると、邪馬台国を中心とする連合国が日本にあったとして、それが九州の中だけで収まる話ではないという考えで、畿内説よりの方です。
『まぼろしの邪馬台国』を読んだ時は、九州説はもっともらしいと感じましたが、この本を読むと、確かに当時既に纏向遺跡を作るような大きな勢力が大和にあったのに、それを無視して記述しないということはあり得るだろうかという気もしてきました。
後、この本を読んで思ったのは、素人目には、早く箸墓古墳の発掘が可能になればなあということですね。それができれば、多くのことに決着を付けることができるように思います。まあ、箸墓古墳を掘れないからこそ、別の場所の発掘に力が入るということもあるでしょうし、今の状態の方が実はいいのかもしれません。