一般的な音楽CDは、スピーカーで再生したときにいい感じになるように設定されているものが多く、それをイヤホンやヘッドホンで再生すると製作者の意図とは違う音になってしまっているのだそうです。HPLは、ヘッドホンで聞いたときにあたかもスピーカーで再生しているかのような音が聞こえるようにしてくれる技術です。この前ヘッドホンを購入した後オーディオについて調べている際にこのHPLというものを見つけて、試しに使ってみたところ明らかに音楽が心地よくなり、とても気に入ったのでここで紹介してみたいと思います。
HPLについて
HPLについてはこちらのサイトに詳しい情報がありますのでこちらを参照していただければと思います。
HPLを体験する方法には、最初からHPLとして作られたCDや音源を聞く方法、既存のCDをHPLで再生してくれる機械を使う方法、ソフトウェア(プラグイン)で再生時に変換して聞く方法などがあるようです。
手っ取り早くHPLを体験するには
にHPL音源があるので、これをイヤホンやヘッドホンで聞いてみるとどんな感じに聞こえるのかが体験できます。
私は上のサイトで聞いてみて「これはいい」と思ったので、自分が持っているCDでもこの聞こえ方を体験してみたいと思い、プラグインを使う方法でMacでHPL再生をする方法を試してみました。
HPLを使うと、楽器やボーカルがきれいに分離されて広がって聞こえるようになる気がします。よく言われる「頭内定位」が解消されているかというとそこは微妙ですが、HPLで聞いたほうが個人的には明らかに心地よいです。ただ、音の解像度自体はプラグインの変換が挟まっている分だけあまくなっているようにも感じました。
また、HPLの効果は、イヤホンのMX375よりもこの前買ったヘッドホン「Creative AURVANA Live!」での方がより感じられました。とくに低音の楽器の分離がよくなったので隠されていたボーカルがより聞こえるようになっているのか、この前レビューで書いた低音が強すぎる嫌さがかなり軽減されたような気がします。
この前は、AURVANAの常用は辛いかなと書きましたが、HPLで聞くならばAURVANAもありかなと思えてきました。
では、今回行った細かい手順を紹介してみたいと思います。
MacでHPLを楽しむ方法(AU Labを使用)
HPLのプラグインは
https://www.hpl-musicsource.com/software
からダウンロードすることができます。
Mac向けにはVST2, VST3, AU (32bit, 64bit)というプラグインの形式で配布されていて、VSTというのはCubaseなどの音楽制作ソフト向けのプラグイン形式、AUというのはAppleのOSのCore Audioのプラグイン形式(Audio Unit)でGarageBandなどで使える形式だそうです。
Macのいくつかの音楽プレーヤーソフト(有料のものが多い)ではAU形式のプラグインに対応しているそうですが、残念ながらiTunesでは対応していないようです。
今回は、AppleがAUの開発向けに無料で配布している「AU Lab」というソフトを使用して既存の音源をHPL再生してみることに成功したのでその方法を紹介してみたいと思います。
AU Labはこちらから入手することができます。
https://www.apple.com/jp/itunes/mastered-for-itunes/docs/au_lab.zip
デフォルトでは32bitモードで起動するようになっていますが、64bitモードで起動するように変更しました(なんとなく64bitの方が良さそうだったので)。AU Labの情報を開き、「32ビットモードで開く」に入っているチェックを外します。
次に、ダウンロードしたプラグインファイル(HPL2 Processor.component)を~/Library/Audio/Plug-Ins/Components/ にコピーします。
AU Labを立ち上げます。
Document Configurationというウィンドウが開きますので、"USER CONFIGURATIONS>Default Configuration"をクリックし、Audio Input DeviceでNoneを選択し、"Create Document"をクリックします。
次のようなウィンドウが出ます。
メニューから、Edit->Add Audio Unit Generator...を選択し、AUAudioFilePlayerを追加します。
このような状態になります。
Generator1: AUAudioFilePlayerのウィンドウの「オーディオファイル+」という部分をクリックすると再生したいオーディオファイルを追加することができます。複数のファイルを追加することもできます。ファインダーの「メディア->ミュージック」部分にiTunesで管理している音楽ファイルやプレイリストが出てきますのでこれを利用すると便利です。
この状態で再生ボタンを押せば音楽を通常再生することができます。かなり大きな音で再生されるのでMac自体の音量を絞っておくかOutput1のボリュームのスライドで音量を絞っておいたほうがいいようです。どのようなファイル形式に対応しているかは不明ですが、少なくともCDをリッピングしたALACファイルは再生できました。
次にHPLプラグインをオンにします。Output1のEffectsで「Acoustic Field->HPL2 Processor」を選択します。
このようなHPL2 Processorのウィンドウが現れます。
この状態で再生ボタンを押せばHPLがオンになった状態で再生することができます。
HPLウィンドウのLimiterのところでも音量を調整できます。
メニューからFile->Saveでこの設定を.trakファイルとして保存することもできます。後から.trakファイルをクリックすることで上の設定をした状態(追加したオーディオファイルも含む)で起動することができます。
以上の方法でHPLは十分に楽しめているのですが、一つ難点があって、それはAUAudioFilePlayerでは曲の再生が終わっても次の曲の再生が自動では始まらないことで、音楽を聞きながら作業をするといった用途にはあまり向かないということです。
一方、この方法のいいところは、AU Labは負荷が低いのか、iTunesではたまにある再生時のノイズが入らないことです。
Audio Unitは自分でもプログラムすることは可能らしいので、連続再生とシャッフル再生くらいを追加したものをMacでのプログラムの勉強がてら作ってみてもいいかなと思っています。
まとめ
スピーカーで聞いているような感覚をヘッドホンで再現してくれるHPL(Headphone Listening)がとても良かったので紹介してみました。今回はMacでの使い方の一つを紹介しましたが、Windowsでも試すことは似たような感じで可能だと思います。HPLの心地よさを多くの人に知ってもらい、有名になってOSの標準機能などになったら嬉しいなと思って記事にしてみました。
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